
ガフキー陽性(今はもはやガフキーという
言葉は用いないが)ということで、
入院になる患者さんは、まずは
肺結核症として扱われる。
もちろん、非結核性抗酸菌症の可能性も
考えられるわけだが、PCRが出るのに
数日の時間がかかってしまう。
入院時に結核か非結核かわかるにこしたことはないのは確かである。
CIDより、TMM-M-IgG-titerとapolar‐glycopeptidolipidについての
論文が出ていた。
IgG抗体といえば、抗TBGL抗体が結核の世界では有名であり
当院でもしばしば測定することが多い。
TBGL (Tuberculous Glycolipid)に対するIgG抗体である。
(結核菌の特徴的な細胞表層成分コードファクター(TDM, trehalose dimycolate)
を主成分にtrehalose 6-mycolate, 2,3-diacyltrehalose, phenolic glycolipid
などの抗原を加えたもの)
TBGL抗体はあまり有用とは言えず、ツ反との相関関係はないとする報告も多い。
Serodiagnostic Contributions of Antibody Titers against Mycobacterial Lipid Antigens in Mycobacterium avium Complex Pulmonary Disease.
Clinical Infectious Diseases 2009;49:529–535
背景:
肺結核の頻度は減少しているが、免疫正常のMycobacterium avium complex (MAC)
患者は増えている。感染するものではないが、肺MAC症はできれば早急に
診断をつけたいものである。
私たちは、血清IgG抗体のタイターを用いて、MACの診断に用いることができるか
どうかを検討した。
方法:
65人の肺MAC症と思われる患者の血清検体を使用した。
15人が肺MAC症であり、25人が肺結核、10人がM.kansasiiであった。
さらに100人の健常人を比較対象に用いた。
彼らのトレハロースモノマイコレート(trehalose monomycolate)に対する
IgG抗体タイター (TMM‐M)およびapolar‐glycopeptidolipid (GPL)と
脂質抗原を用いた。
結果:
肺MAC症の患者において、TMM‐M抗体価、apolar‐GPLは有意に
コントロールより高かった。TMM-M抗体価カットオフ値0.27としたとき
感度89.2%、特異度97.0%であった。
apolar‐GPLにおいてはカットオフ値0.33としたとき
感度89.2%、特異度94.0%であった。
結論:
TMM‐Mに対するIgG抗体タイターおよびapolar‐GPLは
肺MAC症の診断に有用である。