市中肺炎の初期治療は呼吸器内科医にみせた方が良い
2009年 08月 13日
ビバ呼吸器内科!みたいな論文をみつけた。
そんな肺炎の治療で有意差が出るとも思えないのだが…。
ちなみに、海外の呼吸器内科と日本の呼吸器内科では意味合いが異なる。
日本の呼吸器内科医は、はっきり言えば何となく抗菌薬を使っているだけで、
学会のガイドラインも、昔ながらの重鎮の先生たちが作っているもので
いわゆる、今トレンドの感染症学に長けた人物が先導しているわけではない。
以前呼吸器の会合で、若手の感染症内科医(アメリカで修業しておられた)と
重鎮の呼吸器専門医の肺炎治療についての会話を聞いたことがあるが、
いかに日本の呼吸器内科医の抗菌薬の知識が乏しいのか、認識させられた。
感染症学の知識に長けた若手感染症内科医の先生が
重鎮の先生に対して気を遣っている姿は、今でも忘れられない。
Does early review by a respiratory physician lead to a shorter length of stay for patients with non-severe community-acquired pneumonia?
Thorax 2009;64:709-712
背景:
このスタディの目的は市中肺炎における滞在日数について、
初期治療に呼吸器内科医が診察した場合と、非呼吸器内科医が
参加した場合で差がでるかを検証。
方法:
Nottingham市立病院で、看護師によるトリアージを受けた後に
救急部で診察を受けた患者で検証。
同時期に肺炎の診断を受けた患者を対照群として比較検証した。
初期に呼吸器内科医にコンサルトした群(group A)および、
非呼吸器内医にコンサルトした群(group B)、
土日の患者群(group C)。
結果:
平均院内滞在日数は、group Aで1.74日(n = 123, IQR 0.97–4.09)、
group Bで3.03日。(n = 174, IQR 1.12–6.23; p<0.01)
24時間内退院率もgroup Aの方が高かった。(p = 0.18)
比較としてカウントされていた蜂窩織炎の患者では、A-B間に差はみられなかった。
結論:
市中肺炎は、初期に呼吸器内科にコンサルトした方が
院内滞在日数が有意に少なくなる。
by otowelt
| 2009-08-13 13:25
| 感染症全般