CDADにおけるリボタイプ別リスク
2009年 08月 22日
偽膜性腸炎はもはや今やCDAD(C.difficile関連腸炎)と呼ばれる時代だが
私の病院でも、カルバペネムとクリンダマイシンの使用例が多いためかCDADが多い。
場合によっては、壊死性筋膜炎でもないのに両者を併用しているケースもある。
チャーシューメンに、ラーメンをトッピングで頼むようなもんだ、と誰かが言っていた。
(感染症治療の当たり前が、当たり前になっていない現状がある病院はまだ存在する)
CDADは見逃されているケースが多いと思われるが、
リボタイプ027の毒素産生が多いのは有名な話である。
JHIから、まぁそういう内容の論文が出ていたのでチョロっと読んでみた。
Clostridium difficile ribotypes 027 and 106: clinical outcomes and risk factors
Journal of Hospital Infection (2009) 72, 111-118
背景:
イングランド南東部の地区総合病院において、Clostridium difficile関連下痢症
発症のリスク因子、固有のリボタイプとの関連、および芽胞による汚染について調査。
方法および結果:
酵素免疫測定法による便検体からのC. difficileトキシンの検出後、
下痢97症例由来のC. difficile分離株のリボタイピングを行った。
分離株の各種抗菌薬感受性をE-testを用いて調査した。症例の抗菌薬
投与歴を評価し、臨床転帰を追跡した。年齢、性別、病棟、入院期間、
併存疾患をマッチさせた対照を設定し、リスク因子抗菌薬を回帰分析を用いて判定。
サイクロセリン-セフォキシチン-卵黄寒天培地により、病棟環境のサンプリングを行った。
C. difficile分離株のリボタイプは45%が027、39%が106、10%が001。
すべてのリボタイプがシプロフロキサシン、エリスロマイシン、およびセフォタキシム耐性
であったが、メトロニダゾールおよびバンコマイシン感受性は保持していた。
027菌株による粗死亡率(28日以内の死亡)は23%、
早期死亡率(72時間以内の死亡)は11%であったが、
リボタイプ106ではそれぞれ11%、3%であった。
7日を超えるシプロフロキサシン投与が有意なリスク因子だった
(OR3.72、95%CI 1.38~10.02、P=0.019)。環境サンプリングにより、
室内用便器、差し込み式便器(bedpan shells)などの糞便で汚染された用具
に芽胞が認められ、洗浄後も残存することが明らかとなった。
結論:
リボタイプ027の死亡率は他のリボタイプよりも高い。
シプロフロキサシン投与がC. difficile関連下痢症を助長すると考えられるため、
使用は短期間に制限すべきである。
by otowelt
| 2009-08-22 03:01
| 感染症全般