ARDSにおいて腹臥位療法は生存率を改善させない
2009年 11月 11日
ARDSの腹臥位療法のランダム化試験の結果が
JAMAから出ている。
ALI/ARDS の患者を安静臥床させて呼吸管理すると、
肺の背側に無気肺が生じるため、腹側には過剰な陽圧が
かかって過膨張になることが知られている。
その状態で肺血流は重力の影響で背側に多くなり、
換気と血流の不均衡が生じる。この状態から体位を
腹臥位に変換すると、無気肺のない腹側肺への肺血流が増多し、
換気/血流のマッチングが改善すると考えられている。
――――これが理論である。
今まで、どちらかといえばARDSにおける腹臥位の
メリットの方が多いという趨勢であり、そのような論文も
多かった。
Prone positioning in patients with acute respiratory distress syndrome.
Respr Care Clin N Am 8: 237-245, 2002.
Prone position in acute respiratory distress syndrome.
Eur Respir J 20: 1017-1028, 2002.
Crit Care Medの有名なメタアナリシスでは、
死亡率は有意差はないものの、酸素化の改善を認めている。
Effect of prone positioning in patients with acute respiratory distress syndrome: A meta-analysis. Critical Care Medicine.2008; 36 (2): 603-609
このJAMAの論文は、生存率におけるベネフィットを否定するものである。
傾向としては、やや効果があるかと思うカーブだが
統計学的には残念ながらP valueは有意差ナシ、である。
Prone Positioning in Patients With Moderate and Severe Acute Respiratory Distress Syndrome A Randomized Controlled Trial
JAMA. 2009;302(18):1977-1984.
背景:
腹臥位療法は、ARDSにおける重症低酸素血症患者の生存率を
改善する可能性があると考えられている。
目的・方法:
多施設トライアルにより、ランダムにARDS 342人、重症低酸素血症を
対象に、仰臥位と20時間/日の腹臥位療法に割り付けた。
28日、6ヶ月死亡率をエンドポイントとした。
結果:
28日死亡率・6か月死亡率はともに統計学的に同等であった
結論:
この試験により、ARDSにおける中等症~重症低酸素血症に対して
腹臥位療法は生存率改善をもたらさないことがわかった。
JAMAから出ている。
ALI/ARDS の患者を安静臥床させて呼吸管理すると、
肺の背側に無気肺が生じるため、腹側には過剰な陽圧が
かかって過膨張になることが知られている。
その状態で肺血流は重力の影響で背側に多くなり、
換気と血流の不均衡が生じる。この状態から体位を
腹臥位に変換すると、無気肺のない腹側肺への肺血流が増多し、
換気/血流のマッチングが改善すると考えられている。
――――これが理論である。
今まで、どちらかといえばARDSにおける腹臥位の
メリットの方が多いという趨勢であり、そのような論文も
多かった。
Prone positioning in patients with acute respiratory distress syndrome.
Respr Care Clin N Am 8: 237-245, 2002.
Prone position in acute respiratory distress syndrome.
Eur Respir J 20: 1017-1028, 2002.
Crit Care Medの有名なメタアナリシスでは、
死亡率は有意差はないものの、酸素化の改善を認めている。
Effect of prone positioning in patients with acute respiratory distress syndrome: A meta-analysis. Critical Care Medicine.2008; 36 (2): 603-609
このJAMAの論文は、生存率におけるベネフィットを否定するものである。
傾向としては、やや効果があるかと思うカーブだが
統計学的には残念ながらP valueは有意差ナシ、である。
Prone Positioning in Patients With Moderate and Severe Acute Respiratory Distress Syndrome A Randomized Controlled Trial
JAMA. 2009;302(18):1977-1984.
背景:
腹臥位療法は、ARDSにおける重症低酸素血症患者の生存率を
改善する可能性があると考えられている。
目的・方法:
多施設トライアルにより、ランダムにARDS 342人、重症低酸素血症を
対象に、仰臥位と20時間/日の腹臥位療法に割り付けた。
28日、6ヶ月死亡率をエンドポイントとした。
結果:
28日死亡率・6か月死亡率はともに統計学的に同等であった
結論:
この試験により、ARDSにおける中等症~重症低酸素血症に対して
腹臥位療法は生存率改善をもたらさないことがわかった。
by otowelt
| 2009-11-11 14:51
| 集中治療