入院時S.aureus早期スクリーニングと除菌はSSI減少に有効
2010年 01月 10日
MRSA除菌とSSIはまだ決着がついていないのだが、
NEJMより論文が出た。
Preventing Surgical-Site Infections in Nasal Carriers of Staphylococcus aureus
背景:
Staphylococcus aureusの鼻腔内保菌者は医療関連感染のリスクが高い。
入院時に鼻腔・外鼻の除菌を行うことでこのリスクが低下する可能性があるので
これを調べた。
方法:
多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験において、PCRを用いて
S. aureus 鼻腔内保菌者を早期に同定したあと、ムピロシン鼻腔用軟膏と
クロルヘキシジン石鹸で除菌することによってS. aureus の院内感染リスクが
低下するかどうかを検討。
結果:
2005年10月~2007年6月に、6771 例の患者に対して
入院時にスクリーニングを行った。1251例の鼻腔ぬぐい液1270検体が
S. aureus 陽性であった。そのうち917例をITT解析の対象として登録し
うち808例(88.1%)に手術が行われた。S. aureusはすべて
メチシリンとムピロシンに感受性であった。S. aureus 感染率は
ムピロシン+クロルヘキシジン群3.4%(504例中17例)、プラセボ群7.7%
(413例中32例)であった(感染の相対リスク 0.42,95%CI 0.23~0.75)。
院内死亡率に両群間で有意差は認められなかった。
院内感染が発生するまでの時間は、プラセボ群のほうがムピロシン+クロルヘキシジン群
より短かった(P=0.005)。
結論:
S. aureus 手術部位感染は、入院時に S. aureus 鼻腔内保菌の
早期スクリーニングを行い、保菌者に対する除菌を行うことによって
減少させることができる。
by otowelt
| 2010-01-10 22:03
| 感染症全般