Wegener肉芽腫症 その2
2010年 01月 16日
●Wegener肉芽腫症の病理
・巨細胞を伴う壊死性肉芽腫性血管炎
壊死周囲には組織球、リンパ球などと共に、しばしば多核巨細胞も出現。
・小動脈,細動脈を中心に巨細胞のみられる類上皮細胞
・好中球主体の炎症性細胞からなる肉芽腫
●Wegener肉芽腫症の血液検査
・白血球上昇
・血小板上昇 (>400,000/mm3)
・赤沈亢進(>100 mm/時間)
・貧血
・リウマトイド因子は軽度上昇していることもしばしば
・90%でANCA陽性(PR3-ANCAは80~90%で陽性)
C-ANCA+PR3-ANCA陽性で感度73%、特異度99%
Kidney Int 1998; 53:743.
・限局型の40%がC-ANCA陰性
・重症例の25%ではP-ANCA陽性
●C-ANCAとは
・C-ANCAの対応抗原の大部分は細胞質のアズール顆粒に
含まれる29kDaのセリンブロテアーゼ-3(PR-3)
・C-ANCA(PR3-ANCA)はWegener肉芽腫症に特異性が高く、
かつその疾患活動性と相関して変動することや再燃に先行し抗体値が再上昇
したとの報告もある。またC-ANCAはPR-3の酵素阻害作用を有する
α1-antitrypsinの作用を抑制することや、α1-antitrypsin欠損症例において
多く認められる。
●Wegener肉芽腫症の治療
☆厚生省難治性血管炎分科会 治療プロトコル
①寛解導入療法
全身型:シクロホスファミド50~100mg/日
+プレドニゾロン40~60mg/日 8~12週
限局型:シクロホスファミド25~75mg/日
+プレドニゾロン15~30mg/日
+ST合剤2~3錠/日 8週間
※副作用ゆえシクロホスファミド内服困難な場合は
アザチオプリン同量投与あるいは,メソトレキセート2.5~7.5mg/週
②維持療法(寛解導入後,以下のいずれかを選択する)
・プレドニゾロンを8~12週間かけて減量・中止し,
シクロホスファミドを25~50mg/日にまで減量
・シクロホスファミドをただちに中止し,プレドニゾロンを5~15mg/日投与
☆UpToDate
1.プレドニゾロン (1 mg/kg daily 1~2ヶ月)
teparingは1~2ヶ月後より開始
2.シクロホスファミド (2mg/kg daily 12ヶ月)
※1+2のレジメンで80~90%が寛解するが、50%はまた再発する。
※あるスタディでは最初の6ヶ月で93%が寛解(最初の3ヶ月で77%)
N Engl J Med 2003; 349:36.
※寛解が得られたら、メソトレキセート0.3mg/kg/週 分1か
アザチオプリン2mg/kg/日 へスイッチ。ステロイドは10mg/日程度へ。
シクロホスファミドからのスイッチ
・腎障害 → アザチオプリン
・副作用 → メソトレキセートへスイッチ
・寛解が得られたら → アザチオプリンかメソトレキセートへスイッチ
●エンドキサンの副作用
・内服シクロホスファミドの副作用
無月経57% (1年以上続く)
膀胱炎50%
膀胱癌5.6%
骨髄異形成2.0%
リンパ腫0.7%
Ann Intern Med 1992; 116:488.
●その他の治療
・シクロホスファミド静注(Monthly)
副作用は少ないが、効果も少ない
エンドキサンパルスでは58%にしか効果がなかった
Nephrol Dial Transplant 1994; 9:1219.
・メソトレキセート(Weekly)
寛解を維持
・ST合剤
意見のわかれるところ。気道に効果があるとされている。再発を減らす?
・血漿交換
・免疫グロブリン
・抗CD20モノクローナル抗体(リツキシマブ)
シクロホスファミド抵抗性または禁忌の,疾患活動性の高いC-ANCA陽性血管炎
の11例に対して,リツキシマブ375mg/m2・週1回4週投与とプレドニゾロン併用療法
では全例ANCA低下,病状は寛解。
Arthritis Rheum. 2005, 52:1–5. 53
10 例を対象としたstudy にて全症例で3 カ月以内に完全寛解に至った。
Am J Respir Crit Care Med 2006 ; 173 : 180―187.
文責"倉原優"
・巨細胞を伴う壊死性肉芽腫性血管炎
壊死周囲には組織球、リンパ球などと共に、しばしば多核巨細胞も出現。
・小動脈,細動脈を中心に巨細胞のみられる類上皮細胞
・好中球主体の炎症性細胞からなる肉芽腫
●Wegener肉芽腫症の血液検査
・白血球上昇
・血小板上昇 (>400,000/mm3)
・赤沈亢進(>100 mm/時間)
・貧血
・リウマトイド因子は軽度上昇していることもしばしば
・90%でANCA陽性(PR3-ANCAは80~90%で陽性)
C-ANCA+PR3-ANCA陽性で感度73%、特異度99%
Kidney Int 1998; 53:743.
・限局型の40%がC-ANCA陰性
・重症例の25%ではP-ANCA陽性
●C-ANCAとは
・C-ANCAの対応抗原の大部分は細胞質のアズール顆粒に
含まれる29kDaのセリンブロテアーゼ-3(PR-3)
・C-ANCA(PR3-ANCA)はWegener肉芽腫症に特異性が高く、
かつその疾患活動性と相関して変動することや再燃に先行し抗体値が再上昇
したとの報告もある。またC-ANCAはPR-3の酵素阻害作用を有する
α1-antitrypsinの作用を抑制することや、α1-antitrypsin欠損症例において
多く認められる。
●Wegener肉芽腫症の治療
☆厚生省難治性血管炎分科会 治療プロトコル
①寛解導入療法
全身型:シクロホスファミド50~100mg/日
+プレドニゾロン40~60mg/日 8~12週
限局型:シクロホスファミド25~75mg/日
+プレドニゾロン15~30mg/日
+ST合剤2~3錠/日 8週間
※副作用ゆえシクロホスファミド内服困難な場合は
アザチオプリン同量投与あるいは,メソトレキセート2.5~7.5mg/週
②維持療法(寛解導入後,以下のいずれかを選択する)
・プレドニゾロンを8~12週間かけて減量・中止し,
シクロホスファミドを25~50mg/日にまで減量
・シクロホスファミドをただちに中止し,プレドニゾロンを5~15mg/日投与
☆UpToDate
1.プレドニゾロン (1 mg/kg daily 1~2ヶ月)
teparingは1~2ヶ月後より開始
2.シクロホスファミド (2mg/kg daily 12ヶ月)
※1+2のレジメンで80~90%が寛解するが、50%はまた再発する。
※あるスタディでは最初の6ヶ月で93%が寛解(最初の3ヶ月で77%)
N Engl J Med 2003; 349:36.
※寛解が得られたら、メソトレキセート0.3mg/kg/週 分1か
アザチオプリン2mg/kg/日 へスイッチ。ステロイドは10mg/日程度へ。
シクロホスファミドからのスイッチ
・腎障害 → アザチオプリン
・副作用 → メソトレキセートへスイッチ
・寛解が得られたら → アザチオプリンかメソトレキセートへスイッチ
●エンドキサンの副作用
・内服シクロホスファミドの副作用
無月経57% (1年以上続く)
膀胱炎50%
膀胱癌5.6%
骨髄異形成2.0%
リンパ腫0.7%
Ann Intern Med 1992; 116:488.
●その他の治療
・シクロホスファミド静注(Monthly)
副作用は少ないが、効果も少ない
エンドキサンパルスでは58%にしか効果がなかった
Nephrol Dial Transplant 1994; 9:1219.
・メソトレキセート(Weekly)
寛解を維持
・ST合剤
意見のわかれるところ。気道に効果があるとされている。再発を減らす?
・血漿交換
・免疫グロブリン
・抗CD20モノクローナル抗体(リツキシマブ)
シクロホスファミド抵抗性または禁忌の,疾患活動性の高いC-ANCA陽性血管炎
の11例に対して,リツキシマブ375mg/m2・週1回4週投与とプレドニゾロン併用療法
では全例ANCA低下,病状は寛解。
Arthritis Rheum. 2005, 52:1–5. 53
10 例を対象としたstudy にて全症例で3 カ月以内に完全寛解に至った。
Am J Respir Crit Care Med 2006 ; 173 : 180―187.
文責"倉原優"
by otowelt
| 2010-01-16 18:46
| レクチャー