下肢のDVT精査の陰性確認は一度でよい、ということだろうか?
Risk of Deep Vein Thrombosis Following a Single Negative Whole-Leg Compression Ultrasound, A Systematic Review and Meta-analysis
JAMA. 2010;303(5):438-445.
背景:
症候性のDVT疑い例の多くに、複数回の下肢静脈エコーが行われている。
近年、静脈造影の代替として、圧迫法を用いる超音波検査=CUSが広く用いられている。
CUSの近位部DVT検出精度は高いが、遠位部DVTは不安が残るため、
ガイドラインは、最初の検査で陰性だった患者には、5~7日後に
遠位部の静脈を対象とするCUSを実施するよう勧めている。
目的:
下肢DVTが疑われ、単回の全下肢CUS検査で陰性と判定された場合には
抗凝固治療を行わない、という方法の安全性を知ること。
方法:
文献データベースに登録されていた、1970年1月から2009年11月までに
発表された論文の中から、以下の条件を満たすものを選出。
無作為化試験または前向きのコホート研究で、DVTが疑われる症候性の
患者のうち、全下肢CUSの結果が陰性となり抗凝固治療を中止された人々を
少なくとも90日間追跡し、VTEイベントの有無を調べた。
結果:
追跡期間中にVTEイベントを経験した患者、すなわち、VTEと診断された、
またはVTEに起因する死亡とみなされた人は、4731人中34人(0.7%)。
うち11人(32.4%)は遠位部DVT、7人(20.6%)は近位部DVT、
7人(20.6%)は非致死的肺塞栓症を発症しており、9人(26.5%)は
VTE関連死亡とみなされた。
分散重み付け法を用いてプールしたデータをランダム効果モデルによる分析で、
3カ月の時点のVTEイベント発生率は0.57%(95%CI0.25%-0.89%)。
検査前の時点で、DVTである可能性の高低を示す情報が得られた1618人を
リスクレベルに基づいて層別化したところ、低リスク者が1071人(66.2%)、
中リスク者が467人(28.9%)、高リスク者が80人(4.9%)。
うち、追跡期間中にVTEイベントを経験したのは、低リスク者では3人、
中リスク者は4人、高リスク者は2人だった。イベント発生率は、
低リスク者0.29%(0%-0.70%)、中リスク者が0.82%(0%-1.83%)、
高リスク者は2.49%(0%-7.11%)。
結論:
全体としては、単回の全下肢CUSの結果が陰性で、かつ抗凝固治療が
行われなかった患者の3カ月間のVTEリスクは低かった。
Risk of Deep Vein Thrombosis Following a Single Negative Whole-Leg Compression Ultrasound, A Systematic Review and Meta-analysis
JAMA. 2010;303(5):438-445.
背景:
症候性のDVT疑い例の多くに、複数回の下肢静脈エコーが行われている。
近年、静脈造影の代替として、圧迫法を用いる超音波検査=CUSが広く用いられている。
CUSの近位部DVT検出精度は高いが、遠位部DVTは不安が残るため、
ガイドラインは、最初の検査で陰性だった患者には、5~7日後に
遠位部の静脈を対象とするCUSを実施するよう勧めている。
目的:
下肢DVTが疑われ、単回の全下肢CUS検査で陰性と判定された場合には
抗凝固治療を行わない、という方法の安全性を知ること。
方法:
文献データベースに登録されていた、1970年1月から2009年11月までに
発表された論文の中から、以下の条件を満たすものを選出。
無作為化試験または前向きのコホート研究で、DVTが疑われる症候性の
患者のうち、全下肢CUSの結果が陰性となり抗凝固治療を中止された人々を
少なくとも90日間追跡し、VTEイベントの有無を調べた。
結果:
追跡期間中にVTEイベントを経験した患者、すなわち、VTEと診断された、
またはVTEに起因する死亡とみなされた人は、4731人中34人(0.7%)。
うち11人(32.4%)は遠位部DVT、7人(20.6%)は近位部DVT、
7人(20.6%)は非致死的肺塞栓症を発症しており、9人(26.5%)は
VTE関連死亡とみなされた。
分散重み付け法を用いてプールしたデータをランダム効果モデルによる分析で、
3カ月の時点のVTEイベント発生率は0.57%(95%CI0.25%-0.89%)。
検査前の時点で、DVTである可能性の高低を示す情報が得られた1618人を
リスクレベルに基づいて層別化したところ、低リスク者が1071人(66.2%)、
中リスク者が467人(28.9%)、高リスク者が80人(4.9%)。
うち、追跡期間中にVTEイベントを経験したのは、低リスク者では3人、
中リスク者は4人、高リスク者は2人だった。イベント発生率は、
低リスク者0.29%(0%-0.70%)、中リスク者が0.82%(0%-1.83%)、
高リスク者は2.49%(0%-7.11%)。
結論:
全体としては、単回の全下肢CUSの結果が陰性で、かつ抗凝固治療が
行われなかった患者の3カ月間のVTEリスクは低かった。