ASCO 2010速報:ペメトレキセド+カルボプラチンもNSCLCファーストラインとして妥当

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進行NSCLCに、ペメトレキセド+シスプラチン併用に比べて、
ペメトレキセド+カルボプラチンもファーストラインとして有効であることが
ランダム化phaseII試験で明らかになったことがASCO2010で発表された。

Randomized phase II study of pemetrexed in combination with cisplatin or carboplatin as first-line chemotherapy in advanced non-small cell lung cancer

背景:
 non-SqのNSCLCにおいて、ペメトレキセド+シスプラチンはファーストライン
 として行われるが、シスプラチンによる治療が難しい場合
 カルボプラチンが代用できる可能性があるが、そのエビデンスははっきりしていない。

方法:
 多施設共同ランダム化phaseII試験として、stage IIIb/IV NSCLCを対象に
 ペメトレキセド+シスプラチンとペメトレキセド+カルボプラチンが検討された。

結果:
 133人が登録され、130人が治療を受けた。
 ペメトレキセド(500mg/m2)+シスプラチン(75mg/m2)、
 ペメトレキセド(500mg/m2)+カルボプラチン(AUC6)はそれぞれ3週間ごとに
 投与し、合計6サイクル行った。non-Sqの比率は前者65人が81.5%(53人)、
 後者65人が80%(52人)とほぼ同じcharacteristicsだった。
 プライマリエンドポイントである6ヵ月PFSは、ペメトレキセド+シスプラチン群が
 52.8%(95%CI40.3-65.3)で、ぺメトレキセド+カルボプラチン群は
 39.3%(95%CI27.8-50.8)と、前者のほうがPFSは高かった。
 組織別では、Sqの6ヵ月PFSはそれぞれ34.9%、42%、non-Sqでは57.6%、
 38.5%であった。OS中央値はペメトレキセド+シスプラチン群が11.7ヵ月、
 ペメトレキセド+カルボプラチン群が8.9ヵ月、Sqではそれぞれ7.4ヵ月、
 9.8ヵ月だが、non-Sqでは11.9ヵ月、8.5ヵ月。RRは32.3%、20%だった。
 グレード3/4の有害事象が認められた患者は同等だった。
 血小板減少などカルボプラチンに多い傾向がみられたのは予想通りであった。

結論:
 両レジメンとも有効性は確認された。
 シスプラチンが投与できない患者にはカルボプラチンを使用できると考えてよい。
 しかしながら、survivalにやや差が出ることは考慮すべき点である。
by otowelt | 2010-06-08 21:33 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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