ASCO 2010速報:進行NSCLC患者への早期緩和ケアチームの介入の有用性
2010年 06月 09日

今回の報告者は過去に、進行期NSCLC患者の治療早期において
外来緩和ケアチームが関わる有用性を50例のphase II試験で報告済である。
J Clin Oncol 2007; 25: 2377-2382

なだらかな緩和ケアの介入を発表者は強調していた。
Effect of early palliative care (PC) on quality of life (QOL), aggressive care at the end-of-life (EOL),and survival in stage IV NSCLC patients: Results of a phase III randomized trial.
方法:
stage IVと診断されたPS0~2のNSCLC患者が、腫瘍内科医による
積極的治療とともに早期から緩和ケアチームとも関わるPalliative Care(PC)群
および通常どおり腫瘍内科医のみに治療をうける標準治療(SC)群にランダム化
割り付けされた。PC群では割付けから3週以内に緩和ケアチームと面会し、
最低月1回の頻度で緩和ケアが継続され、一方、SC群では患者本人や家族、
腫瘍内科医の要望があったときのみ緩和ケアチームが関わった。
ランダム化前にQOLに関する調査(FACT-Lung)と精神状態に関する調査
(HADSおよびPHQ-9)が行われ、割り付けから12週後に再調査された。
プライマリエンドポイントは12週時点におけるQOL、セカンダリエンドポイントは
12週時点での精神状態、EOLの質、EOLに用いられた医療資源、蘇生の記録。
結果:
2006年6月~2009年7月に283例の適格例のうち151例が登録。
12週時点で27例(PC群17例、SC群10例)の患者が死亡、
PC群の60例(78%)、SC群の47例(64%)でQOL調査がおこなわれた。
結果、PC群はSC群と比べ有意にQOLが優れていた
(FACT-Lungスコアで98.0 VS 91.5、p=0.03)。
12週時点における精神状態も、PC群では有意に抑うつ症状が少なかった。
PC群ではSC群に比べて積極的治療(ホスピスに入所しない、ホスピスへの
入所期間が3日以内、死亡の14日以内にも化学療法を受けている)を
受けた頻度が有意に少なく、蘇生術を回避する率も高かった。
OSはPC群がSC群より有意に長かった(11.6ヵ月VS8.9ヵ月、p=0.02)
結論:
進行期NSCLC患者が診断早期から緩和ケアチームが関わることは、
患者の精神状態とQOLを有意に改善させる。
by otowelt
| 2010-06-09 22:46
| 肺癌・その他腫瘍