リツキシマブは重症ANCA関連血管炎の寛解導入においてシクロホスファミドに非劣勢で、再発には有用

Rituximab versus Cyclophosphamide for ANCA-Associated Vasculitis
N Engl J Med 2010; 363 : 221 - 32.


背景:
 シクロホスファミドとグルココルチコイドは、40年もの期間
 重症ANCA関連血管炎の寛解導入に重要な役割を果たしている。
 リツキシマブの有効性が非対照試験で示唆され、シクロホスファミドベース
 レジメンよりも安全である可能性がある。

方法:
 多施設共同ランダム化二重盲検試験において、寛解導入療法として
 リツキシマブ(375mg/m2/wを4週間)とシクロホスファミド(2mg/kg/day)
 を比較。グルココルチコイドは漸減した。
 プライマリエンドポイントは、6ヵ月時点でのプレドニゾンを用いない疾患の寛解。

結果:
 9施設で、ウェゲナー肉芽腫または顕微鏡的多発血管炎を有する
 ANCA陽性患者197例を登録。リツキシマブ群の63例(64%)、
 コントロール群の52例(53%)がプライマリエンドポイントに達し、
 非劣性基準を満たした。再発疾患の寛解導入には、リツキシマブレジメン
 のほうがシクロホスファミドレジメンより有効で、リツキシマブ群の
 51例中34例(67%)、コントロール群の50例中21例(42%)が
 プライマリエンドポイントに達した(P=0.01)。腎疾患を有する患者、
 肺胞出血をきたした患者の治療においても、リツキシマブは
 シクロホスファミドと同等に有効であった。
リツキシマブは重症ANCA関連血管炎の寛解導入においてシクロホスファミドに非劣勢で、再発には有用_e0156318_14451469.jpg
結論:
 リツキシマブは、重症ANCA関連血管炎の寛解導入において
 シクロホスファミド連日投与に劣らず、なおかつ再発に対してはむしろ優れている。
by otowelt | 2010-07-18 08:23 | 膠原病

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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