リポソーム製剤シスプラチン+パクリタキセルは、副作用が少なく良好な効果

Liposomal cisplatin combined with paclitaxel versus cisplatin and paclitaxel in non-small-cell lung cancer:a randomized phase III multicenter trial
Annals of Oncology 21: 2227–2232, 2010


背景:
 リポソ-ム製剤シスプラチンは、全身のシスプラチンの毒性を軽減するために
 開発された新しい形態の白金製剤である。このスタディのプライマリ
 エンドポイントは、腎障害、消化器副作用、末梢神経障害、血液毒性で、
 セカンダリエンドポイントはRR、TTP、生存率とした。

患者および方法:
 236人のケモナイーヴの手術不能NSCLC患者が、ランダムに
 リポソーム製剤シスプラチン200mg/m2+パクリタキセル135mg/m2 (arm A)
 あるいはシスプラチン75mg/m2+パクリタキセル135 mg/m2(arm B)に
 ランダムに割り付けされ、2週間に1回の外来に来るという治療を行われた。
 229人が毒性、RR、生存率について評価可能であった。
 治療は9サイクルが計画された。

結果:
 Arm Aの患者は総じて有意に腎障害、Grade3-4の白血球減少、Grade2-3の
 神経障害、嘔気、嘔吐、疲労が少なかった。OSあるいはTTPに差は
 みられなかった。
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結論:
 リポソーム製剤シスプラチンとパクリタキセルによる化学療法は
 毒性が少なく、シスプラチン+パクリタキセルと同等の効果をもたらす。
by otowelt | 2010-10-26 11:06 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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