MDR-VAPに対して、コリスチン静注にコリスチン吸入を加えても利益なし
2010年 11月 15日
Aerosolized plus Intravenous Colistin versus Intravenous Colistin Alone for the Treatment of Ventilator‐Associated Pneumonia: A Matched Case‐Control Study
Clinical Infectious Diseases 2010;51:1238–1244
目的:
人工呼吸器関連肺炎(VAP)は多剤耐性菌(MDR)によって起こることが増えている。
静脈注射(IV)コリスチン単独と、IVにエアロゾル化した(AS)コリスチンを
加える治療法が、こういった生命をおびやかすVAPに使用されることがある。
このスタディの目的は、AS+IVコリスチンがIV単独に比べて
グラム陰性菌によるMDR-VAPの効果と安全性が有益かどうかを調べる。
方法:
Heraklion大学病院ICUで2005年1月から2008年12月までおこなわれた。
43人のグラム陰性MDRによるVAP患者がAS+IVコリスチンに
年齢やAPACHEIIスコアでマッチして割り付けられた。
コントロールは43人のIVコリスチン単独投与患者とした。
結果:
characteristicsは両群とも同等であった。
Acinetobacter baumannii (66 cases [77%])は、最もよくみられた
病原微生物であり、Klebsiella pneumoniae (12 cases [14%])、
Pseudomonas aeruginosa (8 cases [9.3%])と続く。
コリスチン耐性菌はみられなかった。
これら2群において、微生物的寛解(P=.679)、臨床的治癒(P=.10)、
死亡率(P=.289)に有意差はみられなかった。いずれかの治療を受けた
8人(19%)が可逆性腎機能障害に陥った。ただ、ASコリスチン関連の有害事象は
記録されていない。
結論:
グラム陰性菌によるMDR-VAP患者において、IVコリスチンにASコリスチンを加えても
治療的な利益は得られない。
by otowelt
| 2010-11-15 06:59
| 集中治療