severe sepsis/septic shockの重症患者RSIへのetomidateは問題なく使用可能
2010年 12月 08日
敗血症におけるetomidate(エトミデート)の論文。
「etomidateは敗血症によいのか/よくないのか」という問題は
長年集中治療界で議論されているため、多くの医師はご存知のことと思う。
ただ、"septic RSI”なんて状況を現場で判断できる状況というのもそう多くはない。
有名な論文となるとこのあたりになると思う。
特にLancetのketamineとの比較はetomidate議論の時に
必ず引用される論文になっている。
・The effects of etomidate on adrenal responsiveness and mortality in patients with septic shock. Intensive Care Med 2009 Nov; 35:1868.
・Etomidate versus ketamine for rapid sequence intubation in acutely ill patients: a multicentre randomised controlled trial. Lancet 2009; 374: 293–300
etomidateは、非バルビツレート系全身麻酔薬、鎮静、催眠薬で
GABA A受容体作動薬と考えられている。作用時間は極めて短く、
血圧の低下を生じない特徴がある。
欧米では、緊急挿管時(RSI)にしばしばエトミデートが使用されている。
以下、CHESTからetomidateの論文。
Outcomes of Etomidate in Severe Sepsis and Septic Shock
CHEST 2010; 138(6):1327–1332
背景:
重症患者における緊急挿管にetomidateを用いることは、最近
副作用としてのステロイドホルモン産生抑制の観点から議論を呼んでいる。
われわれの目的は、etomidate使用をRSIに用いることで
死亡率や昇圧剤の使用、ステロイド使用、ICU入室期間、人工呼吸器期間
などのアウトカムを検証することにある。
方法:
レトロスペクティブに18ヵ月のコホート試験をICUで施行。
severe sepsisあるいはseptic shockで、挿管人工呼吸管理となった
連続症例を登録し、etomidate-RSIを施行した群としなかった群に分けて解析した。
院内死亡率、ICU入室期間、人工呼吸器装着期間、ステロイド使用、
昇圧剤使用、臨床的なデータなどが記録された。
結果:
224人の患者が登録され、113人がetomidateを使用。
平均APACHEIIスコアはetomidate群で21.3±8.1、非etomidate群で
21.9±8.3であった( P= .62)。死亡率あるいは昇圧剤使用のRRは
etomidate群で0.92 (CI, 0.74-1.14; P=0.51)、1.16 (CI, 0.9-1.51; P=.31)。
ICU入室期間に両群に差はなく(mean, 14 vs 12 days;P =.31)、また
人工呼吸器装着期間にも差はみられなかった(mean, 11 vs 8 days; P=.13)。
コルチコステロイド使用のRRはetomidate群で1.34 (CI, 1.11-1.61; P=.003)。 結論:
severe sepsis/septic shockの重症患者RSIにおけるetomidate単回使用は
死亡率上昇、昇圧剤使用、ICU入室期間、人工呼吸器装着期間に関与しない。
etomidateで挿管された患者は、コルチコステロイド使用増加と関連しているが、
アウトカムには寄与しない。
「etomidateは敗血症によいのか/よくないのか」という問題は
長年集中治療界で議論されているため、多くの医師はご存知のことと思う。
ただ、"septic RSI”なんて状況を現場で判断できる状況というのもそう多くはない。
有名な論文となるとこのあたりになると思う。
特にLancetのketamineとの比較はetomidate議論の時に
必ず引用される論文になっている。
・The effects of etomidate on adrenal responsiveness and mortality in patients with septic shock. Intensive Care Med 2009 Nov; 35:1868.
・Etomidate versus ketamine for rapid sequence intubation in acutely ill patients: a multicentre randomised controlled trial. Lancet 2009; 374: 293–300
etomidateは、非バルビツレート系全身麻酔薬、鎮静、催眠薬で
GABA A受容体作動薬と考えられている。作用時間は極めて短く、
血圧の低下を生じない特徴がある。
欧米では、緊急挿管時(RSI)にしばしばエトミデートが使用されている。
以下、CHESTからetomidateの論文。
Outcomes of Etomidate in Severe Sepsis and Septic Shock
CHEST 2010; 138(6):1327–1332
背景:
重症患者における緊急挿管にetomidateを用いることは、最近
副作用としてのステロイドホルモン産生抑制の観点から議論を呼んでいる。
われわれの目的は、etomidate使用をRSIに用いることで
死亡率や昇圧剤の使用、ステロイド使用、ICU入室期間、人工呼吸器期間
などのアウトカムを検証することにある。
方法:
レトロスペクティブに18ヵ月のコホート試験をICUで施行。
severe sepsisあるいはseptic shockで、挿管人工呼吸管理となった
連続症例を登録し、etomidate-RSIを施行した群としなかった群に分けて解析した。
院内死亡率、ICU入室期間、人工呼吸器装着期間、ステロイド使用、
昇圧剤使用、臨床的なデータなどが記録された。
結果:
224人の患者が登録され、113人がetomidateを使用。
平均APACHEIIスコアはetomidate群で21.3±8.1、非etomidate群で
21.9±8.3であった( P= .62)。死亡率あるいは昇圧剤使用のRRは
etomidate群で0.92 (CI, 0.74-1.14; P=0.51)、1.16 (CI, 0.9-1.51; P=.31)。
ICU入室期間に両群に差はなく(mean, 14 vs 12 days;P =.31)、また
人工呼吸器装着期間にも差はみられなかった(mean, 11 vs 8 days; P=.13)。
コルチコステロイド使用のRRはetomidate群で1.34 (CI, 1.11-1.61; P=.003)。
severe sepsis/septic shockの重症患者RSIにおけるetomidate単回使用は
死亡率上昇、昇圧剤使用、ICU入室期間、人工呼吸器装着期間に関与しない。
etomidateで挿管された患者は、コルチコステロイド使用増加と関連しているが、
アウトカムには寄与しない。
by otowelt
| 2010-12-08 06:05
| 集中治療