自転車が軽くても、通勤時間を短縮できるわけではない

毎年恒例のChristmas BMJ。
自転車が趣味の麻酔科医の、心のこもった論文である。
考察にも書かれているが、自転車が4kgばかり軽くなったところで
自分の体重が重力の作用のほとんどを占めているので差が出なかった。
じゃあなぜカーボン製の自転車を買ったのか、というところが
問題になるわけだが、”新しいものを出すから買うんだ!”と筆者は言う。

Bicycle weight and commuting time: randomised trial
BMJ 2010; 341:c6801 doi: 10.1136/bmj.c6801


目的:
 筆者の9.5kgのカーボンフレーム自転車と、
 13.5kgのスチールフレーム自転車の通勤時間を比較する
 ランダム化試験である。

セッティング:
 イギリスSheffieldからChesterfieldまで、2010年1月中旬頃から7月中旬頃まで。
 往復27マイル(43.5km)を小旅行した。
 カーボンフレーム自転車の車輪:
   36 spoke 700C wheel of standard alloy rim construction
 スチールフレーム自転車の車輪:
   20 spoke 700C wheel with alloy rim

参加者:
 1人の麻酔科・集中治療部コンサルタント(筆者)

結果:
 スチールフレーム自転車の移動総距離は809マイル(1302km)、
 カーボンフレームは711マイル(1144km)であった。
 両群の平均の移動時間差は、00:00:32
 (hr:min:sec; 95% CI –00:03:34 to 00:02:30; P=0.72)であった。
 また冬の間(20 January to 19 April 2010)と
 夏の間(21 April to 22 July 2010)の移動時間差は
 00:06:50 (95% CI 00:04:39 to 00:08:59; P<0.01)であり、有意だった。
自転車が軽くても、通勤時間を短縮できるわけではない_e0156318_123671.jpg
結論:
 自転車が軽くても、通勤時間を短縮できるわけではない。
 軽い自転車を購入するよりも、自分の体重を減らすべきである。
by otowelt | 2010-12-13 12:42 | その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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