FLEX試験サブグループ解析:セツキシマブに1コース目皮疹が出た場合生存は有意に改善する
2010年 12月 21日
「タルセバで皮疹がよく出るほど効果がありますよ」と患者さんに
説明することがよくあるが、副作用が出るほど効果があるというのも
なんだかおかしな話だという顔をよくされる。
セツキシマブのFLEX試験のサブグループ解析で
似たような結果が出たので、Lancet Oncologyに掲載された。
●FLEX試験の復習
FLEX試験は、30カ国166施設で行われた試験で、
EGFRを発現している3B期/4期の進行NSCLC患者を
シスプラチン、ビノレルビンのみを投与する群(化学療法のみ群)と
シスプラチンビノレルビンに加えてセツキシマブを投与する群(併用群)
セツキシマブは最初400mg/m2を投与し、その後は毎週250mg/m2を投与。
セツキシマブの投与は化学療法との併用終了後も維持療法として投与された。
セツキシマブ併用群には557人、化学療法のみ群には568人が割り付け。
化学療法のみ群、セツキシマブ併用群とも化学療法のサイクルの中央値は4。
試験の結果、OS中央値はセツキシマブ併用群が11.3カ月、
化学療法のみ群が10.1カ月、1年生存率はセツキシマブ併用群が47%、
化学療法のみ群では42%だった。ハザード比は0.871
(95%CI:0.762-0.996、p=0.044)で有意にセツキシマブ群の延長が認められた。
奏効率はセツキシマブ併用群が36%、化学療法のみ群が29%で有意に
セツキシマブ群の方が優れていた。治療成功期間もセツキシマブ併用群が4.2カ月
に対し、化学療法のみ群は3.7カ月で、ハザード比0.860(95%CI:0.761-0.971)で、
セツキシマブ併用群の方が優れていた。ただし、PFSは両群とも4.8カ月で有意差なし。
First-cycle rash and survival in patients with advanced non-small-cell lung cancer receiving cetuximab in combination with first-line chemotherapy: a subgroup analysis of data from the FLEX phase 3 study
The Lancet Oncology, Early Online Publication, 20 December 2010
背景:
ランダム化III相試験であるFLEX試験は、
セツキシマブを、シスプラチン+ビノレルビンに加えることで
進行NSCLCにおいてOSが有意に改善した臨床試験である。
セツキシマブにおけるおもな有害事象はアクネ様の皮疹である。
ここでアクネ様皮疹における臨床的ベネフィットを提示する。
方法:
われわれはFLEX試験のサブグループ解析をおこなった。
1コース目の初期21日以内に皮疹が出現した患者の臨床アウトカムを解析。
21日目まで生存していた患者をITT解析した。
結果:
518人の患者がセツキシマブ群であり、そのうち290人が1コース目で
皮疹が出現した。この皮疹が出現した患者は、有意にOSが延長していた。
(OS中央値 15.0 months [95% CI 12.8-16.4] vs 8.8 months [7.6-11.1];
HR 0.631 [0.515—0.774]; p<0·0001)
PFSも同様に相関していた。
(PFS中央値 5.4 months [5.2—5.7] vs 4.3 months [4.1—5.3];
HR 0.741 [0.607—0.905]; p=0.0031)
奏効率 (rate 44.8% [39·.0—50.8] vs 32.0% [26.0—38.5];
OR 1.703 [1.186—2.448]; p=0·0039)
1コース目で皮疹が出なかった患者のOSは、セツキシマブ群と非セツキシマブ群で
差はみられなかった(OS中央値 8.8 months [7.6-11.1] vs 10.3 months
[9.6-11.3]; HR 1.085 [0.910-1.293]; p=0.36)。
OSに有意差があった、セツキシマブ皮疹群の組織別解析では
adenocarcinoma (median 16.9 months, [14.1—20.6] vs
9.3 months [7.7-13.2]; HR 0.614 [0.453-0.832]; p=0.0015)
squamous-cell carcinoma (median 13.2 months [10.6—16.0] vs
8.1 months [6.7—12.6]; HR 0.659 [0.472-0.921]; p=0.014)、
他の組織型(median 12.6 months [9.2—16.4] vs 6.9 months [5.2-11.0];
HR 0.616 [0.392—0.966]; p=0.033)であった。
結論:
進行NSCLCにおいて、シスプラチン+ビノレルビンの化学療法に
セツキシマブを併用すると、1コース目に皮疹が出現した場合
OSおよびPFSは有意に改善する。
説明することがよくあるが、副作用が出るほど効果があるというのも
なんだかおかしな話だという顔をよくされる。
セツキシマブのFLEX試験のサブグループ解析で
似たような結果が出たので、Lancet Oncologyに掲載された。
●FLEX試験の復習
FLEX試験は、30カ国166施設で行われた試験で、
EGFRを発現している3B期/4期の進行NSCLC患者を
シスプラチン、ビノレルビンのみを投与する群(化学療法のみ群)と
シスプラチンビノレルビンに加えてセツキシマブを投与する群(併用群)
セツキシマブは最初400mg/m2を投与し、その後は毎週250mg/m2を投与。
セツキシマブの投与は化学療法との併用終了後も維持療法として投与された。
セツキシマブ併用群には557人、化学療法のみ群には568人が割り付け。
化学療法のみ群、セツキシマブ併用群とも化学療法のサイクルの中央値は4。
試験の結果、OS中央値はセツキシマブ併用群が11.3カ月、
化学療法のみ群が10.1カ月、1年生存率はセツキシマブ併用群が47%、
化学療法のみ群では42%だった。ハザード比は0.871
(95%CI:0.762-0.996、p=0.044)で有意にセツキシマブ群の延長が認められた。
奏効率はセツキシマブ併用群が36%、化学療法のみ群が29%で有意に
セツキシマブ群の方が優れていた。治療成功期間もセツキシマブ併用群が4.2カ月
に対し、化学療法のみ群は3.7カ月で、ハザード比0.860(95%CI:0.761-0.971)で、
セツキシマブ併用群の方が優れていた。ただし、PFSは両群とも4.8カ月で有意差なし。
First-cycle rash and survival in patients with advanced non-small-cell lung cancer receiving cetuximab in combination with first-line chemotherapy: a subgroup analysis of data from the FLEX phase 3 study
The Lancet Oncology, Early Online Publication, 20 December 2010
背景:
ランダム化III相試験であるFLEX試験は、
セツキシマブを、シスプラチン+ビノレルビンに加えることで
進行NSCLCにおいてOSが有意に改善した臨床試験である。
セツキシマブにおけるおもな有害事象はアクネ様の皮疹である。
ここでアクネ様皮疹における臨床的ベネフィットを提示する。
方法:
われわれはFLEX試験のサブグループ解析をおこなった。
1コース目の初期21日以内に皮疹が出現した患者の臨床アウトカムを解析。
21日目まで生存していた患者をITT解析した。
結果:
518人の患者がセツキシマブ群であり、そのうち290人が1コース目で
皮疹が出現した。この皮疹が出現した患者は、有意にOSが延長していた。
(OS中央値 15.0 months [95% CI 12.8-16.4] vs 8.8 months [7.6-11.1];
HR 0.631 [0.515—0.774]; p<0·0001)
PFSも同様に相関していた。
(PFS中央値 5.4 months [5.2—5.7] vs 4.3 months [4.1—5.3];
HR 0.741 [0.607—0.905]; p=0.0031)
奏効率 (rate 44.8% [39·.0—50.8] vs 32.0% [26.0—38.5];
OR 1.703 [1.186—2.448]; p=0·0039)
1コース目で皮疹が出なかった患者のOSは、セツキシマブ群と非セツキシマブ群で
差はみられなかった(OS中央値 8.8 months [7.6-11.1] vs 10.3 months
[9.6-11.3]; HR 1.085 [0.910-1.293]; p=0.36)。
OSに有意差があった、セツキシマブ皮疹群の組織別解析では
adenocarcinoma (median 16.9 months, [14.1—20.6] vs
9.3 months [7.7-13.2]; HR 0.614 [0.453-0.832]; p=0.0015)
squamous-cell carcinoma (median 13.2 months [10.6—16.0] vs
8.1 months [6.7—12.6]; HR 0.659 [0.472-0.921]; p=0.014)、
他の組織型(median 12.6 months [9.2—16.4] vs 6.9 months [5.2-11.0];
HR 0.616 [0.392—0.966]; p=0.033)であった。
結論:
進行NSCLCにおいて、シスプラチン+ビノレルビンの化学療法に
セツキシマブを併用すると、1コース目に皮疹が出現した場合
OSおよびPFSは有意に改善する。
by otowelt
| 2010-12-21 06:39
| 肺癌・その他腫瘍