ゾレドロン酸は多発性骨髄腫の全生存期間を延長
2011年 01月 04日
oncologistにとっては超有名な論文らしいが、年末から、ほったらかしにしていた。
肺癌の論文ばかり読むのもいいのだが、oncologyの論文を
読むときに個人的に教えられているのは
1.第III相試験はいかなる分野であっても読むべし
2.プライマリエンドポイントのOSが延長した論文は読むべし
の2点である。
セカンダリエンドポイントでOSをセットしている論文は多いが、
確かにプライマリでOSをセットして、効果を出した論文というのは
いずれも相当なエビデンスで支持されているものが多いように思う。
ゾメタの抗腫瘍効果というのは、骨転移を有する肺癌のときにも
話題にのぼるテーマであるので興味深いと思う。
First-line treatment with zoledronic acid as compared with clodronic acid in multiple myeloma (MRC Myeloma IX): a randomised controlled trial. Lancet. 2010 Dec 11;376(9757):1989-99. Epub 2010 Dec 4.
目的:
多発性骨髄腫に対するファーストラインにおいて、ビスホスホネートが
臨床アウトカムに及ぼす効果をランダム化比較試験において検証した。
方法:
イギリス120施設から登録された多発性骨髄腫患者が、ゾレドロン酸
4mgを3~4週ごとに静注投与する群あるいはclodronic酸1600mg/日を
経口投与する群にランダムに割り付けられた。これら患者は、
強化寛解導入療法あるいは非強化寛解導入療法を施行する群に割り付けられた。
プライマリエンドポイントはOS、PFS、overall RRとした。
結果:
登録された1970例のうち1960例がITT解析可能であった。
ゾレドロン酸群は981例(強化療法群555例、非強化療法群426例)、
clodronic酸群は979例(それぞれ556例、423例)。
PDとなるまでのビスホスホネートの投与期間中央値は350日で、
フォローアップ期間中央値は3.7年(IQR 2.9~4.7)だった。
ゾレドロン酸群は、clodronic酸群と比較して死亡率が16%(95%CI:4~26%)
低下し(HR0.84、95%CI:0.74~0.96、p=0.0118)、OS中央値は
5.5ヵ月延長した。すなわち、50.0ヵ月(IQR:21.0ヵ月~到達せず) vs
44.5ヵ月(IQR:16.5ヵ月~到達せず)、p=0.04。
ゾレドロン酸は、clodronic酸と比較してPFSが12%(95%CI:2~20%)
改善し(HR0.88、95%CI:0.80~0.98、p=0.0179)、PFS中央値は
2.0ヵ月延長した。すなわち、19.5ヵ月(IQR:9.0~38.0ヵ月) vs
17.5ヵ月(IQR:8.5~34.0ヵ月)、p=0.07。
overall RRは、有意な差はみられなかった。
重篤な有害事象の発生率は同等だったが、顎骨壊死の発生は
ゾレドロン酸群が4%(35例)と、clodronic酸群の1%未満(3例)より多かった。
結論:
ゾレドロン酸はpotential anticancer activity(潜在的抗腫瘍効果)を有すると
考えられ、多発性骨髄腫患者はこれによる迅速な治療が行われるべきである。
肺癌の論文ばかり読むのもいいのだが、oncologyの論文を
読むときに個人的に教えられているのは
1.第III相試験はいかなる分野であっても読むべし
2.プライマリエンドポイントのOSが延長した論文は読むべし
の2点である。
セカンダリエンドポイントでOSをセットしている論文は多いが、
確かにプライマリでOSをセットして、効果を出した論文というのは
いずれも相当なエビデンスで支持されているものが多いように思う。
ゾメタの抗腫瘍効果というのは、骨転移を有する肺癌のときにも
話題にのぼるテーマであるので興味深いと思う。
First-line treatment with zoledronic acid as compared with clodronic acid in multiple myeloma (MRC Myeloma IX): a randomised controlled trial. Lancet. 2010 Dec 11;376(9757):1989-99. Epub 2010 Dec 4.
目的:
多発性骨髄腫に対するファーストラインにおいて、ビスホスホネートが
臨床アウトカムに及ぼす効果をランダム化比較試験において検証した。
方法:
イギリス120施設から登録された多発性骨髄腫患者が、ゾレドロン酸
4mgを3~4週ごとに静注投与する群あるいはclodronic酸1600mg/日を
経口投与する群にランダムに割り付けられた。これら患者は、
強化寛解導入療法あるいは非強化寛解導入療法を施行する群に割り付けられた。
プライマリエンドポイントはOS、PFS、overall RRとした。
結果:
登録された1970例のうち1960例がITT解析可能であった。
ゾレドロン酸群は981例(強化療法群555例、非強化療法群426例)、
clodronic酸群は979例(それぞれ556例、423例)。
PDとなるまでのビスホスホネートの投与期間中央値は350日で、
フォローアップ期間中央値は3.7年(IQR 2.9~4.7)だった。
ゾレドロン酸群は、clodronic酸群と比較して死亡率が16%(95%CI:4~26%)
低下し(HR0.84、95%CI:0.74~0.96、p=0.0118)、OS中央値は
5.5ヵ月延長した。すなわち、50.0ヵ月(IQR:21.0ヵ月~到達せず) vs
44.5ヵ月(IQR:16.5ヵ月~到達せず)、p=0.04。
ゾレドロン酸は、clodronic酸と比較してPFSが12%(95%CI:2~20%)
改善し(HR0.88、95%CI:0.80~0.98、p=0.0179)、PFS中央値は
2.0ヵ月延長した。すなわち、19.5ヵ月(IQR:9.0~38.0ヵ月) vs
17.5ヵ月(IQR:8.5~34.0ヵ月)、p=0.07。
overall RRは、有意な差はみられなかった。
重篤な有害事象の発生率は同等だったが、顎骨壊死の発生は
ゾレドロン酸群が4%(35例)と、clodronic酸群の1%未満(3例)より多かった。
結論:
ゾレドロン酸はpotential anticancer activity(潜在的抗腫瘍効果)を有すると
考えられ、多発性骨髄腫患者はこれによる迅速な治療が行われるべきである。
by otowelt
| 2011-01-04 08:21
| 肺癌・その他腫瘍