2011年IDSAによるMRSAガイドライン
2011年 01月 09日
もう話題になっているが、IDSAのMRSAガイドラインがリリースされた。
IDSAのサイトでもニュースとして掲示されているが、
”first-ever guidelines”であると銘打っている。
主な変更は、心内膜炎、中枢神経感染症、骨髄炎、関節炎などのときに
1回15 mg/kg を12時間ごとの基準から1回15-20 mg/kg を8-12時間ごと
まで増量されている点である。
バンコマイシンにおけるloading Doseは、よくわからんという立場だったが、
少し緩和された記述に変更されている。
バンコマイシンのMICが2を超えるとき、ダプトマイシンがないような日本でも
ある程度のオプションを提示してくれているので、
今回のガイドラインに限っては、しっかり読んでおいた方がよいと思われる。
興味のあるところだけ抜粋。
Clinical Practice Guidelines by the Infectious Diseases Society of America for the Treatment of Methicillin-Resistant Staphylococcus Aureus Infections in Adults and Children
●MRSA肺炎
32. 入院患者における重症CAPは以下の基準に該当するものとする
(1)ICU入室が必要であること、(2)壊死性あるいは空洞性の肺炎
(3) 膿胸、MRSAへの経験的治療が推奨される状況 (A-III)
33. 院内MRSA肺炎(HA-MRSA)あるいは市中MRSA肺炎に対しては
vancomycin 静注(A-II)あるいはlinezolid 600 mg 経口/静注 1日2回(A-II)
あるいはクリンダマイシン 600 mg 経口/静注 1日3回(B-III)が推奨される。
7~21日の治療が望ましい。
34. MRSA肺炎に膿胸を合併したケースでは、抗菌薬に加えて
ドレナージもおこなうべきである。(A-III)
●バンコマイシン投与設計、モニタリング
60. 腎機能が正常な場合、15-20mg/kg/回(実際体重)の投与を推奨する。
ちなみに、1回投与量が2gを超えないように配慮するべきである。(B-III)
61. 重症感染(敗血症、髄膜炎、肺炎、心内膜炎)では25-30mg/kg(実際体重)
のLoading doseも考慮してよい。Redman症候群やアナフィラキシーなどの
リスクがあるため、高用量のバンコマイシンを投与するときは、1回あたりの投与時間を
2時間以上をかける、あるいは抗ヒスタミン薬の予防的投与を考慮してもよい。(C-III).
62. trough値は、一番正確なバンコマイシンの投与量設計の指標。
4回目ないしは5回目の投与の直前に測定する。(B-II)
63. 重症感染症(菌血症、心内膜炎、骨髄炎、髄膜炎、肺炎、重症皮膚軟部組織感染)
の場合はバンコマイシンのtroughは15-20μg/mLを目標とする。(B-II)
64. 腎機能正常で肥満がなければ、ほとんどの軟部組織感染に対して
1g12時間ごとでも十分でtrough濃度測定は不要である。(B-II)
65. 重症感染と肥満、腎機能障害、分布容積の変動が大きい場合、
trough値のモニタリングを推奨する。(A-II)
66. バンコマイシンの持続点滴はすすめられない。
●持続する菌血症、VCMで治療失敗したとき
71. 治療可能なほかの感染フォーカスを探すべきである。 (A-III)
72. 感受性がある場合は、高用量Daptomycin(10 mg/kg/day)を
用いるが、ただし他の薬剤(ゲンタマイシン、リファンピシン、リネゾリド、ST、βラクタム)
との併用を考慮すべきである。 (B-III)
73. VCMとDaptomycinへの感受性が低い場合は、以下の薬剤も有用である。 (C-III)
Quinupristin-dalfopristin 7.5mg/kg 8時間毎
ST合剤 5mg/kg 1日2回 静注
linezolid 600mg PO/IV 1日2回
Telavancin 10 mg/kg/回 1日1回
IDSAのサイトでもニュースとして掲示されているが、
”first-ever guidelines”であると銘打っている。
主な変更は、心内膜炎、中枢神経感染症、骨髄炎、関節炎などのときに
1回15 mg/kg を12時間ごとの基準から1回15-20 mg/kg を8-12時間ごと
まで増量されている点である。
バンコマイシンにおけるloading Doseは、よくわからんという立場だったが、
少し緩和された記述に変更されている。
バンコマイシンのMICが2を超えるとき、ダプトマイシンがないような日本でも
ある程度のオプションを提示してくれているので、
今回のガイドラインに限っては、しっかり読んでおいた方がよいと思われる。
興味のあるところだけ抜粋。
Clinical Practice Guidelines by the Infectious Diseases Society of America for the Treatment of Methicillin-Resistant Staphylococcus Aureus Infections in Adults and Children
●MRSA肺炎
32. 入院患者における重症CAPは以下の基準に該当するものとする
(1)ICU入室が必要であること、(2)壊死性あるいは空洞性の肺炎
(3) 膿胸、MRSAへの経験的治療が推奨される状況 (A-III)
33. 院内MRSA肺炎(HA-MRSA)あるいは市中MRSA肺炎に対しては
vancomycin 静注(A-II)あるいはlinezolid 600 mg 経口/静注 1日2回(A-II)
あるいはクリンダマイシン 600 mg 経口/静注 1日3回(B-III)が推奨される。
7~21日の治療が望ましい。
34. MRSA肺炎に膿胸を合併したケースでは、抗菌薬に加えて
ドレナージもおこなうべきである。(A-III)
●バンコマイシン投与設計、モニタリング
60. 腎機能が正常な場合、15-20mg/kg/回(実際体重)の投与を推奨する。
ちなみに、1回投与量が2gを超えないように配慮するべきである。(B-III)
61. 重症感染(敗血症、髄膜炎、肺炎、心内膜炎)では25-30mg/kg(実際体重)
のLoading doseも考慮してよい。Redman症候群やアナフィラキシーなどの
リスクがあるため、高用量のバンコマイシンを投与するときは、1回あたりの投与時間を
2時間以上をかける、あるいは抗ヒスタミン薬の予防的投与を考慮してもよい。(C-III).
62. trough値は、一番正確なバンコマイシンの投与量設計の指標。
4回目ないしは5回目の投与の直前に測定する。(B-II)
63. 重症感染症(菌血症、心内膜炎、骨髄炎、髄膜炎、肺炎、重症皮膚軟部組織感染)
の場合はバンコマイシンのtroughは15-20μg/mLを目標とする。(B-II)
64. 腎機能正常で肥満がなければ、ほとんどの軟部組織感染に対して
1g12時間ごとでも十分でtrough濃度測定は不要である。(B-II)
65. 重症感染と肥満、腎機能障害、分布容積の変動が大きい場合、
trough値のモニタリングを推奨する。(A-II)
66. バンコマイシンの持続点滴はすすめられない。
●持続する菌血症、VCMで治療失敗したとき
71. 治療可能なほかの感染フォーカスを探すべきである。 (A-III)
72. 感受性がある場合は、高用量Daptomycin(10 mg/kg/day)を
用いるが、ただし他の薬剤(ゲンタマイシン、リファンピシン、リネゾリド、ST、βラクタム)
との併用を考慮すべきである。 (B-III)
73. VCMとDaptomycinへの感受性が低い場合は、以下の薬剤も有用である。 (C-III)
Quinupristin-dalfopristin 7.5mg/kg 8時間毎
ST合剤 5mg/kg 1日2回 静注
linezolid 600mg PO/IV 1日2回
Telavancin 10 mg/kg/回 1日1回
by otowelt
| 2011-01-09 11:27
| 感染症全般