ヨーロッパでは、C.difficile PCRリボタイプ027以外の株が多かった;サーベイランス事業の重要性
2011年 01月 23日
C.difficilePCRリボタイプ027の
予後不良という情報や意外に多いんじゃないかという
先行した誤解に歯止めをかける論文である。
大規模なサーベイランス事業が重要であることを強調している。
027株は、トキシンAおよびBの産生量が多いとされている。
Binary toxin(actin-specific ADP-ribosyltransferase)を産生するため
感染症を発症すると従来型のC. difficile による感染症と比べ、
重症な経過をたどり、死亡率が極端に高くなるといわれている。
Clostridium difficile infection in Europe: a hospital-based survey.
Lancet. 2011;377:63-73.
目的:
ヨーロッパにおけるC. Difficile感染状況を把握し、
診断能向上・サーベイランス確立を目的とした調査をおこなう。
方法:
ヨーロッパの34ヵ国106施設においてネットワークを創設。
2008年11月1~6施設において、C. Difficile感染が疑われる患者
や入院後下痢を発症した患者の便検査を施行。
便中にトキシンが検出された場合、C. Difficile感染と定義した。
分離株は、各施設の初期10例から収集した。3ヵ月後にデータをフォローアップ。
結果:
C. Difficile感染の発生率は、1施設10000人年あたりの
加重平均値が4.1、範囲は0.0~36.3であり、施設間にばらつきがあった。
509例のうち389例に分離株に65のPCRリボタイプが確認された。
最も多かったのはPCRリボタイプ014/020の61例(16%)、
001が37例(9%)、078が31例(8%)と続いた
予後不良リボタイプである027は19例(5%)と少なかった。
3ヵ月後フォローアップで、22%(101/455例)が死亡。死亡例の
40%(40例)においてC. Difficile感染が関与したと考えられる。
交絡因子補正後、重篤なアウトカムと関連のあったリスクファクターとして
・65歳以上(OR3.26、95%CI1.08~9.78、p=0.026)、
・PCRリボタイプ018(OR6.19、95%CI1.28~29.81、p=0.023)、
・PCRリボタイプ056(OR13.01、95%CI1.14~148.26、p=0.039)
が挙げられた。
結論:
ヨーロッパにおいて、PCRリボタイプ027以外のリボタイプの
C. Difficileの院内感染の頻度が多かった。
C. Difficile感染の検出とコントロールにおいて、複数国による
サーベイランス事業が重要である。
予後不良という情報や意外に多いんじゃないかという
先行した誤解に歯止めをかける論文である。
大規模なサーベイランス事業が重要であることを強調している。
027株は、トキシンAおよびBの産生量が多いとされている。
Binary toxin(actin-specific ADP-ribosyltransferase)を産生するため
感染症を発症すると従来型のC. difficile による感染症と比べ、
重症な経過をたどり、死亡率が極端に高くなるといわれている。
Clostridium difficile infection in Europe: a hospital-based survey.
Lancet. 2011;377:63-73.
目的:
ヨーロッパにおけるC. Difficile感染状況を把握し、
診断能向上・サーベイランス確立を目的とした調査をおこなう。
方法:
ヨーロッパの34ヵ国106施設においてネットワークを創設。
2008年11月1~6施設において、C. Difficile感染が疑われる患者
や入院後下痢を発症した患者の便検査を施行。
便中にトキシンが検出された場合、C. Difficile感染と定義した。
分離株は、各施設の初期10例から収集した。3ヵ月後にデータをフォローアップ。
結果:
C. Difficile感染の発生率は、1施設10000人年あたりの
加重平均値が4.1、範囲は0.0~36.3であり、施設間にばらつきがあった。
509例のうち389例に分離株に65のPCRリボタイプが確認された。
最も多かったのはPCRリボタイプ014/020の61例(16%)、
001が37例(9%)、078が31例(8%)と続いた
予後不良リボタイプである027は19例(5%)と少なかった。
3ヵ月後フォローアップで、22%(101/455例)が死亡。死亡例の
40%(40例)においてC. Difficile感染が関与したと考えられる。
交絡因子補正後、重篤なアウトカムと関連のあったリスクファクターとして
・65歳以上(OR3.26、95%CI1.08~9.78、p=0.026)、
・PCRリボタイプ018(OR6.19、95%CI1.28~29.81、p=0.023)、
・PCRリボタイプ056(OR13.01、95%CI1.14~148.26、p=0.039)
が挙げられた。
結論:
ヨーロッパにおいて、PCRリボタイプ027以外のリボタイプの
C. Difficileの院内感染の頻度が多かった。
C. Difficile感染の検出とコントロールにおいて、複数国による
サーベイランス事業が重要である。
by otowelt
| 2011-01-23 20:56
| 感染症全般