fidaxomicinによるC. difficile感染症治療は有効かつ再発率が低い

日本語表記が、フィダクソマイシンかフィダキソマイシンかすごく迷う。
exonはエクソンだが、エキソンとは表記しないし…。
でもクソという発音は、道義的にやはりよくないのだろうか。

過去記事
Fidaxomicin (FDX)はC.difficile関連腸炎においてバンコマイシンより有用

Fidaxomicin versus Vancomycin for Clostridium difficile Infection
N Engl J Med 2011;364:422-31.


背景:
 重篤な下痢を起こすClostridium difficile感染は罹患率・死亡率が高い。
 治療法としては、バンコマイシンまたはメトロニダゾールの経口投与が有効だが、
 再発率は高い。この臨床試験において、C. difficile感染症の治療として
 fidaxomicinの有効性と安全性をバンコマイシンと比較。

方法:
 C. difficile感染症の症状があり、C. difficileトキシン陽性の成人
 を登録した。fidaxomicin(200mg1日2 回)群と
 バンコマイシン(125mg1日4回)群にランダムに割り付け、10 日間投与。
 プライマリエンドポイントは臨床的な治癒(治療終了後2日目の時点で症状が
 なくなり、C. difficileへの治療の必要性がなくなったのを確認)とした。
 セカンダリエンドポイントは、C. difficile感染症再発
 (治療後4週間以内に下痢と便中トキシン陽性が確認)および
 完全治癒(再発のない治癒)とした。

結果:
 全体で629例を登録、うち548例(87.1%)をper-protocol解析した。
 fidaxomicin臨床的治癒率は、修正ITT解析で
 fidaxomicin群:88.2%、バンコマイシン群:85.8%
 per-protocol解析で
 fidaxomicin群:92.1%、バンコマイシン群:89.8%であった。
 いずれもバンコマイシンに対して非劣性であった。
 fidaxomicin群の再発患者数は、修正ITT解析で
 fidaxomicin群:15.4%、バンコマイシン群:25.3%、P=0.005で、
 per-protocol 解析で
 fidaxomicin群:13.3%、バンコマイシン群:24.0%、P=0.004だった。
 バンコマイシン群より再発が、有意に少なかった。
 North American Pulsed Field type 1(NAP1)以外の菌株が検出された
 患者においては、再発率がより低かった。結論:
 fidaxomicinによるC. difficile感染症の臨床的治癒率は
 バンコマイシンに対して非劣性であり、NAP1以外の菌株においては
 再発率が有意に低かった。
by otowelt | 2011-02-03 07:09 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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