CARDS毒素アッセイによれば、VAPにおけるマイコプラズマの関与は強い
2011年 02月 06日
VAPにおいて、マイコプラズマは40%くらい感染しているのではないかという
衝撃的な論文。ただ、スタディデザインが悪いので、参考程度だと思う。
CARDS毒素は臨床実用化できないと思っていたので、この報告は面白い。
マイコプラズマが産生する毒素として、
community-acquired respiratory distress syndrome toxin
(CARDS TX)が知られている。
ADP-ribosylating and vacuolating cytotoxin of Mycoplasma pneumoniae represents unique virulence determinant among bacterial pathogens. Proc Natl Acad Sci U S A. 2006 Apr 25;103(17):6724-9.
CARDS毒素を同定することは、感度・特異度がきわめて高い検査といわれている。
・Prevalence of Mycoplasma pneumoniae infection in acute exacerbations of asthma in a pediatric and adult population. Chest. 2009;136 (4):48S-49S.
・Evaluation of three real-time PCR assays for detection of Mycoplasma pneumoniae in an outbreak investigation. J Clin Microbiol. 2008;46 (9): 3116-3118
以下、今回のCHESTの論文。
Novel Toxin Assays Implicate Mycoplasma pneumoniae in Prolonged Ventilator Course and Hypoxemia
CHEST 2011; 139(2):305–310
背景:
市中発症呼吸窮迫症候群(CARDS)毒素は、Mycoplasma pneumoniae
独特の毒性因子である。このトキシンをターゲットとした分子学的アッセイは
診断能力として感度が高いが、集中治療現場における院内感染としての
M pneumoniaeに用いることのデータはない。
われわれは、人工呼吸器装着患者においてM pneumoniaeの同定
およびその新しいアッセイによるこの病原体の知見とアウトカムを調べた。
方法:
われわれは、プロスペクティブ観察研究を、VAPが疑われBALを施行された
レベルI外傷センターの手術外傷ICUで施行。BALおよび血清サンプルを
使用してM pneumoniaeに対するCARDS毒素遺伝子シークエンス、
タンパク、抗毒素抗体が調べられた。
結果:
われわれは、37の検体を採取、15例41%がこれらアッセイにより陽性となった。
陽性および陰性の検体を有する患者において、年齢、性別、外傷重症度、
気管支鏡までの人工呼吸器装着期間といった基礎的な背景は同等であった。
陽性群は、より人工呼吸器無装着期間が少なく( P=.04)、平均酸素濃度が
低かった( P= .02)。これらの違いはARDS患者でもっともよくみられた。 結論:
VAPが疑われた患者において、M pneumoniae感染は、かなりの
数が存在する可能性がある。これらの患者では、人工呼吸器装着期間が長く、
低酸素に陥りやすい。
衝撃的な論文。ただ、スタディデザインが悪いので、参考程度だと思う。
CARDS毒素は臨床実用化できないと思っていたので、この報告は面白い。
マイコプラズマが産生する毒素として、
community-acquired respiratory distress syndrome toxin
(CARDS TX)が知られている。
ADP-ribosylating and vacuolating cytotoxin of Mycoplasma pneumoniae represents unique virulence determinant among bacterial pathogens. Proc Natl Acad Sci U S A. 2006 Apr 25;103(17):6724-9.
CARDS毒素を同定することは、感度・特異度がきわめて高い検査といわれている。
・Prevalence of Mycoplasma pneumoniae infection in acute exacerbations of asthma in a pediatric and adult population. Chest. 2009;136 (4):48S-49S.
・Evaluation of three real-time PCR assays for detection of Mycoplasma pneumoniae in an outbreak investigation. J Clin Microbiol. 2008;46 (9): 3116-3118
以下、今回のCHESTの論文。
Novel Toxin Assays Implicate Mycoplasma pneumoniae in Prolonged Ventilator Course and Hypoxemia
CHEST 2011; 139(2):305–310
背景:
市中発症呼吸窮迫症候群(CARDS)毒素は、Mycoplasma pneumoniae
独特の毒性因子である。このトキシンをターゲットとした分子学的アッセイは
診断能力として感度が高いが、集中治療現場における院内感染としての
M pneumoniaeに用いることのデータはない。
われわれは、人工呼吸器装着患者においてM pneumoniaeの同定
およびその新しいアッセイによるこの病原体の知見とアウトカムを調べた。
方法:
われわれは、プロスペクティブ観察研究を、VAPが疑われBALを施行された
レベルI外傷センターの手術外傷ICUで施行。BALおよび血清サンプルを
使用してM pneumoniaeに対するCARDS毒素遺伝子シークエンス、
タンパク、抗毒素抗体が調べられた。
結果:
われわれは、37の検体を採取、15例41%がこれらアッセイにより陽性となった。
陽性および陰性の検体を有する患者において、年齢、性別、外傷重症度、
気管支鏡までの人工呼吸器装着期間といった基礎的な背景は同等であった。
陽性群は、より人工呼吸器無装着期間が少なく( P=.04)、平均酸素濃度が
低かった( P= .02)。これらの違いはARDS患者でもっともよくみられた。
VAPが疑われた患者において、M pneumoniae感染は、かなりの
数が存在する可能性がある。これらの患者では、人工呼吸器装着期間が長く、
低酸素に陥りやすい。
by otowelt
| 2011-02-06 18:38
| 感染症全般