LAM患者における、シロリムスの有効性と安全性
2011年 03月 17日
呼吸器内科医にとっては重要な論文だろう。
Efficacy and Safety of Sirolimus in Lymphangioleiomyomatosis
NEJM, March 16, 2011 (10.1056/NEJMoa1100391)
背景:
リンパ脈管筋腫症(LAM)は、女性にみられる進行性の嚢胞性疾患である。
哺乳類ラパマイシン標的タンパクmTORシグナルの不適切な活性化によって
細胞増殖・リンパ脈管異常が起こる。
シロリムス(ラパマイシン)はmTORを阻害し、LAMに有効であると考えられている。
方法:
われわれは、2段階のシロリムス試験を89人の中等度呼吸機能障害のある
LAM患者で施行。12ヵ月のランダム化二重盲検プラセボ対照化試験をおこない
引き続き12ヵ月の観察期間をおいた。
プライマリエンドポイントはFEV1の勾配変化率とした。
結果:
治療期間の間、FEV1勾配はプラセボ群で−12±2 ml per month(43人)
シロリムス群で1±2 ml per month(46人)であった。(P<0.001)
FEV絶対値の違いは、治療期間において153ml。これは登録時平均FEV1の
およそ11%だった。
プラセボ群比較で、シロリムス群はベースラインから12ヶ月時点において
FVC、FRC、血中vascular endothelial growth factor D (VEGF-D)、QOL、
機能的パフォーマンスを改善した。
6分間歩行距離とDLCOの改善は両群において有意差はなかった。
シロリムス中止後、肺機能減少の勾配は元に戻り、プラセボ群と平行になった。
有害事象は、シロリムスにおいてよくみられたが、
重度の有害事象においては有意差はみられていない。
結論:
LAM患者において、シロリムスは呼吸機能の安定化をもたらし
血清VEGF-Dを減少させる。そして、症状とQOLの改善をもたらす。
選択されたLAM患者においてシロリムスは有用かもしれない。
Efficacy and Safety of Sirolimus in Lymphangioleiomyomatosis
NEJM, March 16, 2011 (10.1056/NEJMoa1100391)
背景:
リンパ脈管筋腫症(LAM)は、女性にみられる進行性の嚢胞性疾患である。
哺乳類ラパマイシン標的タンパクmTORシグナルの不適切な活性化によって
細胞増殖・リンパ脈管異常が起こる。
シロリムス(ラパマイシン)はmTORを阻害し、LAMに有効であると考えられている。
方法:
われわれは、2段階のシロリムス試験を89人の中等度呼吸機能障害のある
LAM患者で施行。12ヵ月のランダム化二重盲検プラセボ対照化試験をおこない
引き続き12ヵ月の観察期間をおいた。
プライマリエンドポイントはFEV1の勾配変化率とした。
結果:
治療期間の間、FEV1勾配はプラセボ群で−12±2 ml per month(43人)
シロリムス群で1±2 ml per month(46人)であった。(P<0.001)
FEV絶対値の違いは、治療期間において153ml。これは登録時平均FEV1の
およそ11%だった。
プラセボ群比較で、シロリムス群はベースラインから12ヶ月時点において
FVC、FRC、血中vascular endothelial growth factor D (VEGF-D)、QOL、
機能的パフォーマンスを改善した。
6分間歩行距離とDLCOの改善は両群において有意差はなかった。
シロリムス中止後、肺機能減少の勾配は元に戻り、プラセボ群と平行になった。
有害事象は、シロリムスにおいてよくみられたが、
重度の有害事象においては有意差はみられていない。

LAM患者において、シロリムスは呼吸機能の安定化をもたらし
血清VEGF-Dを減少させる。そして、症状とQOLの改善をもたらす。
選択されたLAM患者においてシロリムスは有用かもしれない。
by otowelt
| 2011-03-17 13:31
| びまん性肺疾患