喫煙は認知症のリスクである
2011年 03月 22日

Heavy Smoking in Midlife and Long-term Risk of Alzheimer Disease and Vascular Dementia
Arch Intern Med. 2011;171(4):333-339
背景
喫煙は生命を脅かす様々な病気の危険因子である。
しかしながら、認知症との関係については議論がある。
この研究の目的は、喫煙とAlzheimer病、脳血管性
認知症との関連性を調べることである。
方法:
1978~85年の間に健康診断に参加した北カルフォルニアの50~60歳の
33108人のうち、1994年に生存し、引き続きこのヘルスケアシステム会員だった
21123人を登録。医療記録に基づき、1994年1月1日から2008年7月31日までの
認知症、Alzheimer病、脳血管性認知症の診断の有無を検索。
健康診断時のアンケートにおける1日喫煙量により、喫煙量0.5箱未満、
0.5~1箱、1~2箱、2箱超に分類。
結果:
平均追跡期間23年において、認知症と診断されたのは5367人(25.4%)であった。
そのうち1136人がAlzheimer病、416人が脳血管性認知症と診断されていた。
年齢、性別、人種等で調整した多変量Cox比例ハザードモデルを用い、
中年期の喫煙と認知症の関係を調べたところ、
1日あたり2箱を超える喫煙者では、非喫煙者に比べ、認知症の調整HRは
2.14(95%CI1.65-2.78)、Alzheimer病は2.57(1.63-4.03)、
脳血管性認知症は2.72(1.20-6.18)と、有意なリスク上昇がみられた。
1日あたり1~2箱の喫煙者も、認知症の調整HR1.44(1.26-1.64)と有意で、
Alzheimer病ではHR1.18(0.92-1.52)、脳血管性認知症1.42(0.95-2.13)
と、リスク上昇傾向がみられた。
1日あたり0.5~1箱の群においても、認知症のリスクは1.37(1.23-1.52)と
有意であった。Alzheimer、脳血管性認知症は有意差がみられなかった。
過去の喫煙者、1日あたり0.5箱未満の喫煙者は、いずれの評価項目にも
差がみられなかった。
結論:
この大規模コホート試験において、中年期にヘビースモーカーであった場合
その後の認知症リスクは、非喫煙者の2倍を超える。
by otowelt
| 2011-03-22 07:07
| 呼吸器その他