IPF患者の初期評価の遅れは死亡のリスクを上昇させる

IPFのoverall survivalを改善する薬剤がない現状では
下記の結果にはやや懐疑心が残る。
全文を読めないので、詳しくはわからないが・・・。

Daniela J. Lamas, et al. Delayed Access and Survival in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 184. pp. 842-847, (2011)


背景:
 特発性肺線維症は、しばしば初期診断を誤られる。
 専門ケアへのアクセスの遅れは、IPFのアウトカムを悪くするかもしれない。

目的:
 専門ケアへのアクセスが遅れることと、IPFの生存期間との関連を検証する。

方法:
 われわれは、129人のATS診断基準に合致したIPF患者にたいして
 プロスペクティブコホート試験をおこなった。
 ”遅れ”というのは、呼吸困難がはじまってから紹介施設での初期評価までの
 期間と定義する。

結果:
 平均年齢は63歳で、76%が男性であった。
 ”遅れ”の中央値は2,2年(interquartile range 1.0–3.8 yr)で、
 フォローアップ期間中央値は1.1年であった。年齢と肺機能検査は
 この”遅れ”に影響しなかった。長期の遅れがあるほど、
 死亡のリスクを上昇させた(補正HR1.3, 95%CI 1.03 to 1.6)。
 また上記の遅れは、肺移植の比率を下げるといったこととは関連なかった。

結論:
 専門施設への紹介の遅れは、IPFの死亡リスクを上昇させる。
 早期に紹介することが肝要である。
by otowelt | 2011-10-03 05:56 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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