80歳以上の患者において、ICU入室は3分の2で拒否(deny)されるとされている。
Decisionmaking process, outcome, and 1-year quality of life of octogenarians referred for intensive care unit admission. Intensive Care Med. 2006 ; 32 ( 7 ): 1045 - 1051.
理由としては、平均寿命を超えている患者さんに対して
こういった集中治療を行うことは、つらい苦痛を与えるのみで
回復の見込みが少ないと考える治療医が多いからである。
実際、人工呼吸器や中心静脈カテーテル、Aライン、バルーンカテーテル、
胃管などにつながれて亡くなる高齢の患者さんを目の当たりにするのは
忍びないという思いは、臨床医であれば誰しもが持っているだろう。
紹介する論文は、肺癌におけるperformance statusや年齢に依存した
化学療法適応決定と同じような問題点を孕む論文である。
すなわち、「80歳以上だから集中治療はやめておきましょう」というのではなく
基礎疾患や合併症、栄養状態などを鑑みて決定すべきであるという
啓蒙的な意味合いを持つ。
José G. M. Hofhuis, et al.
Changes of Health-Related Quality of Life in Critically Ill Octogenarians
A Follow-up Study
CHEST 2011; 140(6):1473–1483
背景:
集中治療医はしばしば80代の患者に対するICU入室の利益について
懸念をいだく。われわれは、こういったICU入室患者における6ヵ月フォローアップの
HRQOLを調査した。
方法:
われわれは、長期プロスペクティブ試験を内科外科ICUで施行した。
患者は80歳以上の患者(n=129)と、80歳未満の患者(n=620)で
48時間をこえて入院しているものを対象とした。われわれは
SF-36をICU入室前・ICU退室時・退院時・3ヵ月および6ヶ月後フォロー時に
HRQOLの指標として使用した。
結果:
ICU退室後6ヵ月において、49人の80歳以上の患者と352人の80歳未満の
患者が評価に値した。ICU退室時、身体的機能は精神的なそれよりも
80歳以上の患者ではきわめて低い状況であった
(physical component score, 24.9; mental component score, 46.1)。
ほとんどのSF-36の側面において経過とともに有意な改善を認めた
(all P< .01, except role-emotional [ P =.038] and
bodily pain [ P=.77])。80代の患者において平均SF-36スコアは
ICU退室6ヶ月後で、全項目でベースラインに匹敵するものであった。
生存した80代の患者におけるSF-36のほとんどの項目は、
正常な集団と比較してもICU退院後6ヵ月時には有意には低下していなかった。

結論:
われわれは、重症疾患から生存した80代の患者における
HRQOLはよい回復をみせるものと考える。すなわち、
ICU入室に関して年齢のみでこれを拒むのはよくないかもしれない。
Decisionmaking process, outcome, and 1-year quality of life of octogenarians referred for intensive care unit admission. Intensive Care Med. 2006 ; 32 ( 7 ): 1045 - 1051.
理由としては、平均寿命を超えている患者さんに対して
こういった集中治療を行うことは、つらい苦痛を与えるのみで
回復の見込みが少ないと考える治療医が多いからである。
実際、人工呼吸器や中心静脈カテーテル、Aライン、バルーンカテーテル、
胃管などにつながれて亡くなる高齢の患者さんを目の当たりにするのは
忍びないという思いは、臨床医であれば誰しもが持っているだろう。
紹介する論文は、肺癌におけるperformance statusや年齢に依存した
化学療法適応決定と同じような問題点を孕む論文である。
すなわち、「80歳以上だから集中治療はやめておきましょう」というのではなく
基礎疾患や合併症、栄養状態などを鑑みて決定すべきであるという
啓蒙的な意味合いを持つ。
José G. M. Hofhuis, et al.
Changes of Health-Related Quality of Life in Critically Ill Octogenarians
A Follow-up Study
CHEST 2011; 140(6):1473–1483
背景:
集中治療医はしばしば80代の患者に対するICU入室の利益について
懸念をいだく。われわれは、こういったICU入室患者における6ヵ月フォローアップの
HRQOLを調査した。
方法:
われわれは、長期プロスペクティブ試験を内科外科ICUで施行した。
患者は80歳以上の患者(n=129)と、80歳未満の患者(n=620)で
48時間をこえて入院しているものを対象とした。われわれは
SF-36をICU入室前・ICU退室時・退院時・3ヵ月および6ヶ月後フォロー時に
HRQOLの指標として使用した。
結果:
ICU退室後6ヵ月において、49人の80歳以上の患者と352人の80歳未満の
患者が評価に値した。ICU退室時、身体的機能は精神的なそれよりも
80歳以上の患者ではきわめて低い状況であった
(physical component score, 24.9; mental component score, 46.1)。
ほとんどのSF-36の側面において経過とともに有意な改善を認めた
(all P< .01, except role-emotional [ P =.038] and
bodily pain [ P=.77])。80代の患者において平均SF-36スコアは
ICU退室6ヶ月後で、全項目でベースラインに匹敵するものであった。
生存した80代の患者におけるSF-36のほとんどの項目は、
正常な集団と比較してもICU退院後6ヵ月時には有意には低下していなかった。

結論:
われわれは、重症疾患から生存した80代の患者における
HRQOLはよい回復をみせるものと考える。すなわち、
ICU入室に関して年齢のみでこれを拒むのはよくないかもしれない。