ARTを開始するHIV患者におけるフルコナゾールはクリプトコッカス症の予防に安全かつ有効
2011年 12月 14日
ART患者における、フルコナゾールの二重盲検試験。
Rosalind Parkes-Ratanshi, et al.
Primary prophylaxis of cryptococcal disease with fluconazole in HIV-positive Ugandan adults: a double-blind, randomised, placebo-controlled trial
The Lancet Infectious Diseases, Volume 11, Issue 12, Pages 933 - 941, December 2011
背景:
クリプトコッカス症は、HAARTが確立された現時点においても
サハラ以南のアフリカにおけるHIV感染患者において
いまだに重要な死亡原因である。
われわれは、ウガンダにおいてARTを待っている患者あるいは
開始した患者において、フルコナゾールをクリプトコッカス症の予防に
使用する試験をおこなった。
方法:
プロスペクティブ二重盲検ランダム化試験において
われわれはHIV陽性患者でCD4が200細胞/μLを下回り
クリプトコッカス抗原が陰性のARTナイーブのものを登録した
(2004年9月から2008年2月)。登録者はランダムに
プラセボあるいはフルコナゾール200mgを週3回に投与する群に
割り付けられた(1:1)。CD4が200を超えるまで続けられた(中央日数197日)。
プライマリエンドポイントは侵襲性クリプトコッカス症と全死亡率とした。
セカンダリエンドポイントは食道カンジダ症の最初のエピソードと発症、
口腔咽頭あるいは膣カンジダ症の最初のエピソードと発症、最初の入院と死亡
とした。プライマリ安全エンドポイントは正常上限5倍以上のトランスアミナーゼ
上昇やその他有害事象による中止とした。
結果:
1519人の患者が登録され、760人がフルコナゾール、759人がプラセボに
割りつけられた。19人がクリプトコッカス症を発症し、
1人がフルコナゾール群、18人がプラセボ群だった (p=0.0001);
補正HR 18.7 (95% CI 2.5—140.7)。
1症例のクリプトコッカス症は、CD4が200以下である
44.6人の患者の治療によって予防可能であった。
フルコナゾールはART開始前(補正HR=11·0 [1·4—85·3])
あるいは開始後(no cases in fluconazole vs seven cases on placebo)
においても効果がみられた。7症例がクリプトコッカス症で死亡したが、
フルコナゾール群の患者はいなかった。全死亡(n=189)は両群ともに
差はみられなかった (p=0.46)。フルコナゾールはセカンダリエンドポイント
のカンジダ発症については有効であったが、入院と死亡に関しては差が
みられなかった。5倍以上のトランスアミナーゼ上昇は両群とも同等であった
(補正HR=0.94 [0.65—1.35])。
結論:
フルコナゾールは、ART開始時におけるクリプトコッカス症の予防に
安全かつ有効であると考えられる。
Rosalind Parkes-Ratanshi, et al.
Primary prophylaxis of cryptococcal disease with fluconazole in HIV-positive Ugandan adults: a double-blind, randomised, placebo-controlled trial
The Lancet Infectious Diseases, Volume 11, Issue 12, Pages 933 - 941, December 2011
背景:
クリプトコッカス症は、HAARTが確立された現時点においても
サハラ以南のアフリカにおけるHIV感染患者において
いまだに重要な死亡原因である。
われわれは、ウガンダにおいてARTを待っている患者あるいは
開始した患者において、フルコナゾールをクリプトコッカス症の予防に
使用する試験をおこなった。
方法:
プロスペクティブ二重盲検ランダム化試験において
われわれはHIV陽性患者でCD4が200細胞/μLを下回り
クリプトコッカス抗原が陰性のARTナイーブのものを登録した
(2004年9月から2008年2月)。登録者はランダムに
プラセボあるいはフルコナゾール200mgを週3回に投与する群に
割り付けられた(1:1)。CD4が200を超えるまで続けられた(中央日数197日)。
プライマリエンドポイントは侵襲性クリプトコッカス症と全死亡率とした。
セカンダリエンドポイントは食道カンジダ症の最初のエピソードと発症、
口腔咽頭あるいは膣カンジダ症の最初のエピソードと発症、最初の入院と死亡
とした。プライマリ安全エンドポイントは正常上限5倍以上のトランスアミナーゼ
上昇やその他有害事象による中止とした。
結果:
1519人の患者が登録され、760人がフルコナゾール、759人がプラセボに
割りつけられた。19人がクリプトコッカス症を発症し、
1人がフルコナゾール群、18人がプラセボ群だった (p=0.0001);
補正HR 18.7 (95% CI 2.5—140.7)。
1症例のクリプトコッカス症は、CD4が200以下である
44.6人の患者の治療によって予防可能であった。
フルコナゾールはART開始前(補正HR=11·0 [1·4—85·3])
あるいは開始後(no cases in fluconazole vs seven cases on placebo)
においても効果がみられた。7症例がクリプトコッカス症で死亡したが、
フルコナゾール群の患者はいなかった。全死亡(n=189)は両群ともに
差はみられなかった (p=0.46)。フルコナゾールはセカンダリエンドポイント
のカンジダ発症については有効であったが、入院と死亡に関しては差が
みられなかった。5倍以上のトランスアミナーゼ上昇は両群とも同等であった
(補正HR=0.94 [0.65—1.35])。
結論:
フルコナゾールは、ART開始時におけるクリプトコッカス症の予防に
安全かつ有効であると考えられる。
by otowelt
| 2011-12-14 14:07
| 感染症全般