ダビガトランは心筋梗塞、急性冠症候群のリスク
2012年 01月 26日
Arch Intern Med のダビガトランのメタアナリシスを読んだ。
プラザキサについては、個人的にまだ答えが出ていない。
その前に、医学界新聞で素晴らしいコラムをお書きになっている
植田真一郎先生(琉球大学大学院教授)の文章を紹介させていただく。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02928_07
本題は、ダビガトランとMI、ACSとの関連性についてのメタアナリシス。
Uchino K, et al.
Dabigatran Association With Higher Risk of Acute Coronary Events
Meta-analysis of Noninferiority Randomized Controlled Trials
Arch Intern Med January 9, 2012.
目的:
ダビガトランの内服と心筋梗塞または急性冠症候群のリスク関連を
評価する。
方法:
Pub Med、Scopus、Web of Scienceを用いた。
プライマリアウトカムは心筋梗塞または急性冠症候群、
セカンダリアウトカムは全死亡とした。ダビガトラン内服群と
用いられた薬剤にかかわらず非ダビガトラン群をコントロール群に設定した。
29RCTのうち、7RCT、30514人を解析対象とした。
結果:
7RCT中、2つはAf患者の脳卒中予防試験:PETRO試験、RE-LY試験
コントロール薬はワルファリンであった。
1つは急性VTEにおけるワルファリンとの比較:RE-COVER試験、
1つは急性冠症候群でのプラセボ対照試験:RE-DEEM試験、
3つは整形外科的な関節置換手術後のVTE予防での試験:
RE-NOVATE試験、RE-MODEL試験、RE-NOVATE II試験、
コントロール薬はエノキサパリン。
全てにおいて、ベーリンガーインゲルハイムからの資金提供を受けていた。
Jadadスケールでは上記のうち6RCTが質の高い研究だった。
メタアナリシスでは、ダビガトラン群はコントロール群より
心筋梗塞または急性冠症候群のリスクが高かった
(ダビガトラン群1.19% v コントロール群0.79%、OR1.33、
95%CI:1.03-1.71、P=0.03)。出版バイアスはなかった(P=0.60)。
また、全死亡についてはダビガトラン群はコントロール群よりも死亡率が
有意に低かった(ダビガトラン群4.83%v コントロール群5.02%、
OR0.89、95%CI:0.80-0.99、P=0.04)。
Jadadスケール2点の1RCTを除外しても、心筋梗塞または急性冠症候群の
リスクは変わらなかった(OR1.34、95%CI:1.04-1.67、P=0.03)。
結論:
ダビガトランは心筋梗塞または急性冠症候群のリスクをはらむ。
内科医はこういった潜在的な有害事象について考慮する必要がある。
プラザキサについては、個人的にまだ答えが出ていない。
その前に、医学界新聞で素晴らしいコラムをお書きになっている
植田真一郎先生(琉球大学大学院教授)の文章を紹介させていただく。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02928_07
ワルファリンに対するダビガトランの優越性は、一見150mgで証明されているように見えます。しかしRELY試験では、ワルファリンの用量調節が必ずしも成功しているとは言えません。というのは、INRが治療域に達していた期間は64%に過ぎないからです。論文には記載されていませんが、FDAの資料では用量調節が適切なINR患者では、「脳卒中,全身性塞栓症,大出血のいずれのリスクもワルファリン群とダビガトラン150mg群では差がない」とされています。
確かにITT解析で現実のワルファリン使用患者のアウトカムを評価するという意味ではINRが治療域にない患者は存在するわけですから、集団としてのアウトカムはダビガトラン150mgのほうが優れていると言えます。しかし、個々の患者を診療する立場になると、ワルファリンでうまくコントロールできている患者までダビガトランに変更しなければならないような優越性はなかったと言えるのではないでしょうか。
INRの定期的なモニタリングと、それに応じた用量調節を必要としないことがダビガトランのメリットであると強調されていますが、それは集団の論理であり、個々の患者における治療ではむしろデメリットになることを、臨床医は忘れるべきではないと思います。
確かにITT解析で現実のワルファリン使用患者のアウトカムを評価するという意味ではINRが治療域にない患者は存在するわけですから、集団としてのアウトカムはダビガトラン150mgのほうが優れていると言えます。しかし、個々の患者を診療する立場になると、ワルファリンでうまくコントロールできている患者までダビガトランに変更しなければならないような優越性はなかったと言えるのではないでしょうか。
INRの定期的なモニタリングと、それに応じた用量調節を必要としないことがダビガトランのメリットであると強調されていますが、それは集団の論理であり、個々の患者における治療ではむしろデメリットになることを、臨床医は忘れるべきではないと思います。
本題は、ダビガトランとMI、ACSとの関連性についてのメタアナリシス。
Uchino K, et al.
Dabigatran Association With Higher Risk of Acute Coronary Events
Meta-analysis of Noninferiority Randomized Controlled Trials
Arch Intern Med January 9, 2012.
目的:
ダビガトランの内服と心筋梗塞または急性冠症候群のリスク関連を
評価する。
方法:
Pub Med、Scopus、Web of Scienceを用いた。
プライマリアウトカムは心筋梗塞または急性冠症候群、
セカンダリアウトカムは全死亡とした。ダビガトラン内服群と
用いられた薬剤にかかわらず非ダビガトラン群をコントロール群に設定した。
29RCTのうち、7RCT、30514人を解析対象とした。
結果:
7RCT中、2つはAf患者の脳卒中予防試験:PETRO試験、RE-LY試験
コントロール薬はワルファリンであった。
1つは急性VTEにおけるワルファリンとの比較:RE-COVER試験、
1つは急性冠症候群でのプラセボ対照試験:RE-DEEM試験、
3つは整形外科的な関節置換手術後のVTE予防での試験:
RE-NOVATE試験、RE-MODEL試験、RE-NOVATE II試験、
コントロール薬はエノキサパリン。
全てにおいて、ベーリンガーインゲルハイムからの資金提供を受けていた。
Jadadスケールでは上記のうち6RCTが質の高い研究だった。
メタアナリシスでは、ダビガトラン群はコントロール群より
心筋梗塞または急性冠症候群のリスクが高かった
(ダビガトラン群1.19% v コントロール群0.79%、OR1.33、
95%CI:1.03-1.71、P=0.03)。出版バイアスはなかった(P=0.60)。
また、全死亡についてはダビガトラン群はコントロール群よりも死亡率が
有意に低かった(ダビガトラン群4.83%v コントロール群5.02%、
OR0.89、95%CI:0.80-0.99、P=0.04)。
Jadadスケール2点の1RCTを除外しても、心筋梗塞または急性冠症候群の
リスクは変わらなかった(OR1.34、95%CI:1.04-1.67、P=0.03)。
結論:
ダビガトランは心筋梗塞または急性冠症候群のリスクをはらむ。
内科医はこういった潜在的な有害事象について考慮する必要がある。
by otowelt
| 2012-01-26 06:23
| 内科一般