メタアナリシスにおけるバイアスの軽視
2012年 01月 31日
『結果がイマイチの臨床試験は出版されにくい』
簡単に言うと、こういう類のバイアスを出版バイアスという。
臨床試験屋が「negative study」と言及するのがこれだ。
negative studyは採択されにくい現状もあり、
これも重大な医学論文のバイアスの1つである。
出版バイアスを評価するとき、論文中ではfunnel plotを
用いることが多く、これは読者にも視覚的にもわかりやすい。
X軸にエフェクトサイズ、Y軸に標本の大きさ(分散の逆数)を
とることで、対称性であれば出版バイアスが少なく
非対称性であれば出版バイアスが大きいということを意味する。 上が対称性、下が非対称性。
臨床試験をやっている先生に聞いてみると、
回避できない出版バイアスがあると
「出版バイアスがあるメタテーマを選んだあなたが悪い」と
言われている気がするらしい。。。
BMJからメタアナリシスにおける出版バイアス、選択バイアスについて
興味深い論文が出ていたが、めんどくさくてずっと読んでいなかった。
読んでみたが、とにかく長い!
……途中ほとんどすっ飛ばしてしまったので、後日また読もうと思う。
メタアナリシスだからといって信頼できるものじゃないという
可能性を私たちは知っておく必要がある。
Ikhlaaq Ahmed, et al.
Assessment of publication bias, selection bias, and unavailable data in meta-analyses using individual participant data: a database survey
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.d7762
目的:
潜在的な出版バイアス、データ採用バイアス、レビュアー選択バイアス
が近年出版されたメタアナリシスにおいて調査する。
デザイン:
1991年から2009年3月までに出版されたメタアナリシス383のうち
31の最も最近出版されたランダム化試験のメタアナリシスをサーベイした。
結果:
31のメタアナリシスのうち9つのみが”grey literature(無出版研究)”を
含んでおり、出版バイアスの可能性が記載・検討されたのは
たった10(32%)のみであった。
メタアナリシス16つ(52%)が個別の被験者データを入手できておらず、
さらにこれらのうち5つ(31%)は、検討のlimitationにも触れてない。
また、わずか6つ(38%)が個別データがない臨床試験が解析後の結論に
どれだけ影響を与えるかについて言及しているだけであった。
メタアナリシスレビュアー選択バイアスの9つ(29%)は問題があり、
試験同定方法が記載されてない/故意選別的/非システマティックであった。
以下のごとく、個々のメタアナリシスについてfunnel plotを提示して
バッサリ切っている。(下図はDe LucaらのSTEMIに対する
Gp IIb-IIIa阻害薬の早期投与に関するメタアナリシス)
De Luca G, et al.Early glycoprotein IIb-IIIa inhibitors in primary angioplasty (EGYPT) cooperation: an individual patient data meta-analysis. Heart 2008;94:1548-58
結論:
メタアナリシスの出版バイアス等の各バイアスについて、
レビュアーが調査、検討を怠っている。
簡単に言うと、こういう類のバイアスを出版バイアスという。
臨床試験屋が「negative study」と言及するのがこれだ。
negative studyは採択されにくい現状もあり、
これも重大な医学論文のバイアスの1つである。
出版バイアスを評価するとき、論文中ではfunnel plotを
用いることが多く、これは読者にも視覚的にもわかりやすい。
X軸にエフェクトサイズ、Y軸に標本の大きさ(分散の逆数)を
とることで、対称性であれば出版バイアスが少なく
非対称性であれば出版バイアスが大きいということを意味する。
臨床試験をやっている先生に聞いてみると、
回避できない出版バイアスがあると
「出版バイアスがあるメタテーマを選んだあなたが悪い」と
言われている気がするらしい。。。
BMJからメタアナリシスにおける出版バイアス、選択バイアスについて
興味深い論文が出ていたが、めんどくさくてずっと読んでいなかった。
読んでみたが、とにかく長い!
……途中ほとんどすっ飛ばしてしまったので、後日また読もうと思う。
メタアナリシスだからといって信頼できるものじゃないという
可能性を私たちは知っておく必要がある。
Ikhlaaq Ahmed, et al.
Assessment of publication bias, selection bias, and unavailable data in meta-analyses using individual participant data: a database survey
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.d7762
目的:
潜在的な出版バイアス、データ採用バイアス、レビュアー選択バイアス
が近年出版されたメタアナリシスにおいて調査する。
デザイン:
1991年から2009年3月までに出版されたメタアナリシス383のうち
31の最も最近出版されたランダム化試験のメタアナリシスをサーベイした。
結果:
31のメタアナリシスのうち9つのみが”grey literature(無出版研究)”を
含んでおり、出版バイアスの可能性が記載・検討されたのは
たった10(32%)のみであった。
メタアナリシス16つ(52%)が個別の被験者データを入手できておらず、
さらにこれらのうち5つ(31%)は、検討のlimitationにも触れてない。
また、わずか6つ(38%)が個別データがない臨床試験が解析後の結論に
どれだけ影響を与えるかについて言及しているだけであった。
メタアナリシスレビュアー選択バイアスの9つ(29%)は問題があり、
試験同定方法が記載されてない/故意選別的/非システマティックであった。
以下のごとく、個々のメタアナリシスについてfunnel plotを提示して
バッサリ切っている。(下図はDe LucaらのSTEMIに対する
Gp IIb-IIIa阻害薬の早期投与に関するメタアナリシス)
De Luca G, et al.Early glycoprotein IIb-IIIa inhibitors in primary angioplasty (EGYPT) cooperation: an individual patient data meta-analysis. Heart 2008;94:1548-58
メタアナリシスの出版バイアス等の各バイアスについて、
レビュアーが調査、検討を怠っている。
by otowelt
| 2012-01-31 16:19
| 内科一般