血圧の左右差は循環器疾患と死亡リスクを上昇させる
2012年 02月 15日
Christopher E Clark , et al.
Association of a difference in systolic blood pressure between arms with vascular disease and mortality: a systematic review and meta-analysis
The Lancet, Early Online Publication, 30 January 2012
背景:
収縮期血圧(SBP)の左右差による末梢血管疾患ハイリスク患者を
明らかにするため、血圧左右差と末梢血管疾患、心血管疾患、脳血管疾患、
死亡の関連性についてシステマティックレビューとメタアナリシスを実施。
方法:
Medline、Embase、CINAHL、Cochrane、Medline In Process
データベースに2011年7月までに登録された研究において、
血圧左右差、鎖骨下動脈狭窄、末梢血管疾患、脳血管疾患、心血管疾患、
死亡に関する臨床的データを掲載していたものを選択し、
ランダム効果を用いてメタアナリシスをおこなった。
結果:
28の研究がこのレビューに組み込まれた。
定量的なデータを報告していた20の研究をメタアナリシスの対象とした。
血管造影を用いた研究5つにおいて、鎖骨下動脈の狭窄がある患者で
狭窄腕の収縮期血圧は、対側腕に比べ平均で
36.9mmHg(95%CI35.4-38.4mmHg)低かった。
血圧左右差10mmHg以上と鎖骨下動脈狭窄の関係は強くみられた。
2つの研究データをプール解析すると、10mmHg以上差がみられた場合
50%を上回る鎖骨下動脈狭窄がある可能性は、左右差10mmHg未満群の
8.8倍であった(RR8.8、3.6-21.2)。血圧左右差10mmHg以上で
鎖骨下動脈狭窄同定の感度65%(35-86%)、特異度85%(82-88%)。
非侵襲的データのプール解析では、血圧左右差10mmHg以上では
末梢血管疾患と有意に関連していた(RR2.44[1.53-3.87]、
感度32%[23-41%]、特異度は91%[86-94%])。
脳血管疾患の既往と血圧左右差の関係も統計学的に有意にみられた。
左右で15mmHg以上の差がある場合、脳血管疾患歴の
RR1.63(1.10-2.41)、感度8%(2-26%)、特異度93%(86-97%)。
プロスペクティブ研究においては、左右差15mmHg以上で全死亡の
RR1.55(1.07-2.25)であった(10mmHgでは有意差みられず)。
結論:
末梢血管疾患の存在診断において、収縮期血圧左右差10mmHg以上
または15mmHg以上は、特異度が高い。この差は
脳血管疾患の存在、心血管死亡リスク、全死亡リスクに関連。
Association of a difference in systolic blood pressure between arms with vascular disease and mortality: a systematic review and meta-analysis
The Lancet, Early Online Publication, 30 January 2012
背景:
収縮期血圧(SBP)の左右差による末梢血管疾患ハイリスク患者を
明らかにするため、血圧左右差と末梢血管疾患、心血管疾患、脳血管疾患、
死亡の関連性についてシステマティックレビューとメタアナリシスを実施。
方法:
Medline、Embase、CINAHL、Cochrane、Medline In Process
データベースに2011年7月までに登録された研究において、
血圧左右差、鎖骨下動脈狭窄、末梢血管疾患、脳血管疾患、心血管疾患、
死亡に関する臨床的データを掲載していたものを選択し、
ランダム効果を用いてメタアナリシスをおこなった。
結果:
28の研究がこのレビューに組み込まれた。
定量的なデータを報告していた20の研究をメタアナリシスの対象とした。
血管造影を用いた研究5つにおいて、鎖骨下動脈の狭窄がある患者で
狭窄腕の収縮期血圧は、対側腕に比べ平均で
36.9mmHg(95%CI35.4-38.4mmHg)低かった。
血圧左右差10mmHg以上と鎖骨下動脈狭窄の関係は強くみられた。
2つの研究データをプール解析すると、10mmHg以上差がみられた場合
50%を上回る鎖骨下動脈狭窄がある可能性は、左右差10mmHg未満群の
8.8倍であった(RR8.8、3.6-21.2)。血圧左右差10mmHg以上で
鎖骨下動脈狭窄同定の感度65%(35-86%)、特異度85%(82-88%)。
非侵襲的データのプール解析では、血圧左右差10mmHg以上では
末梢血管疾患と有意に関連していた(RR2.44[1.53-3.87]、
感度32%[23-41%]、特異度は91%[86-94%])。
脳血管疾患の既往と血圧左右差の関係も統計学的に有意にみられた。
左右で15mmHg以上の差がある場合、脳血管疾患歴の
RR1.63(1.10-2.41)、感度8%(2-26%)、特異度93%(86-97%)。
プロスペクティブ研究においては、左右差15mmHg以上で全死亡の
RR1.55(1.07-2.25)であった(10mmHgでは有意差みられず)。
結論:
末梢血管疾患の存在診断において、収縮期血圧左右差10mmHg以上
または15mmHg以上は、特異度が高い。この差は
脳血管疾患の存在、心血管死亡リスク、全死亡リスクに関連。
by otowelt
| 2012-02-15 05:20
| 内科一般