fidaxomicinはC.difficile感染症の治療においてバンコマイシンに非劣性

フィダキソマイシンについては過去にもいくつか紹介した。
fidaxomicinによるC. difficile感染症治療は有効かつ再発率が低い
Fidaxomicin (FDX)はC.difficile関連腸炎においてバンコマイシンより有用

Lancet infectious diseasesから。

Oliver A Cornely, et al.
Fidaxomicin versus vancomycin for infection with Clostridium difficile in Europe, Canada, and the USA: a double-blind, non-inferiority, randomised controlled trial
The Lancet Infectious Diseases, Early Online Publication, 8 February 2012


背景:
 Clostridium difficileの感染は抗菌薬関連下痢症における
 最も多い原因である。われわれは、フィダキソマイシン(fidaxomicin)と
 バンコマイシンのC.difficile感染の治療に対する効果と安全性を
 ヨーロッパ、カナダ、アメリカにおいて比較した。

方法:
 この多施設共同二重盲検ランダム化非劣性試験において
 われわれはヨーロッパ45の地域、アメリカとカナダから41の地域を
 2007年4月19日から2009年12月11日の間患者を登録した。
 登録患者は16歳以上で急性発症のC.difficile感染があり
 トキシンが陽性であることとした。患者はランダムに経口フィダキソマイシン
 (200 mg every 12 h)とバンコマイシン(125 mg every 6 h)に10日間
 割りつけられた。プライマリエンドポイントは臨床的治癒、すなわち下痢の軽快と
 継続治療の不要性と定義された。改訂ITT解析とper-protocol解析を実施。
 このスタディはClinicalTrials.gov, number NCT00468728に登録。

結果:
 535人の患者が登録され、270人がフィダキソマイシン群、
 265人がバンコマイシン群に割りつけられた。26人の患者が除外され
 509人が改訂ITT解析対象となった。フィダキソマイシン投与のper-protocol
 において216人中198人(91.7%)が軽快したのに対して、バンコマイシン群で
 235人中213人(90.6%)が軽快。非劣性マージンの基準を満たした
 (one-sided 97.5% CI −4·3%)。非劣性は改訂ITTでの臨床的治癒でも
 確認され、フィダキソマイシン252人中221人(87.7%)、
 バンコマイシン257人中223人(86.8%) で軽快。プライマリエンドポイント解析
 におけるほとんどのサブグループ解析では、両群間に差がみられなかった。
 しかしながら、他の感染症に対して同時に抗菌薬を併用していた場合では、
 フィダキソマイシンの方が高い治癒率であった(フィダキソマイシン群
 51人中46人[90·2%] vs バンコマイシン45人中33人[73·3%]; p=0·031)。
 副作用についても特に両群ともに差はみられず。

結論:
 フィダキソマイシンはC.difficile感染治療において
 バンコマイシンと同等の効果と安全性があるため、代替薬となりうる。
by otowelt | 2012-02-15 05:49 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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