気胸の診断における超音波のメタアナリシス
2012年 03月 07日
気胸におけるエコーについて知っておかねばならないサインは
以下の通りである。
1.lung slidingの消失
呼吸運動に伴う胸膜の動きを診ているもので、
正常であれば横にスライドしている像が確認できる。
気胸があるとlung slidingが消失する。
アニメーション動画などで見ないとわからないと思う。
YOUTUBEにたくさん転がっているので確認すべし。
2.commet tail artifactの消失
正常では胸膜から下に向かって伸びるエコー上のアーチファクトが
確認できることがあるが、気胸ではこれが消失する。
コンソリデーション等がある場合、増強すると言われており
病的肺の診断にも用いられる。
※B-line
comet tail artifactのことをB-lineとも呼ぶことがあるが
これは、B-lineが3本以上・間隔が7mm以内といった
密な所見のときに間質性の疾患(肺水腫)などを疑うと
いう場面で用いられる用語である。なお、皮下にできる
B-line likeのものは、E-lineと呼ぶ。これは皮下気腫を意味する。
3.M-modeにおけるseashore sign(sandy pattern)の消失
M-modeでは肺実質は呼吸性変動でsandy patternになる。
これはあたかも波が打ち寄せる砂浜のように見えるため
seashore signとも呼ばれる。気胸の場合、
seashore signの特徴であるsandy patternが消失する。

※A-line
A-lineは肺内にできるB-lineと直交する線のことで、
1.のsea shore signと平行にできる肺内のエコーシャドウ
のことである。正常でも観察されるが、lung slidingがあり
増強しているときは気管支喘息やCOPDなどを疑う。
lung slidingがないのに増強しているときは、気胸を疑う。
過去にエコーによる気胸診断についてはメタアナリシスを紹介した。
・気胸診断において超音波は感度特異度ともに高い
今月のCHESTから、気胸診断のエコーのメタアナリシスがまた出ていた。
Discussionにも記載されていたが、このメタアナリシスは
多くが外傷救急における論文を引用したものなので、
基本的に仰臥位レントゲンとエコーの話であることに注意したい。
なお、出版バイアス等についてのDiscussionがされていない。
Khaled Alrajhi, et al.
Test Characteristics of Ultrasonography for the Detection of Pneumothorax
A Systematic Review and Meta-analysis
CHEST 2012; 141(3):703–708
背景:
気胸は潜在的に生命にかかわる病態である。CT検査は診断において標準的な
位置づけであるが、胸部レントゲンは気胸の診断を除外する目的でも
よく使われている。われわれは、臨床的に気胸と疑われ
CTを使用したりあるいは脱気を行われた患者における
エコーと仰臥位レントゲンの検査特性を比較した。
方法:
われわれはMEDLINE、EMBASEの英語文献を検索した。
2人の独立した研究者が適格論文をレビューするために
標準化をおこなった。抽出したデータの質評価は、診断精度研究質評価ツール
(QUADAS)の判定基準に基づいて行われた。
われわれはメタナアリシス実施前に
試験選択においてκ係数による一致度を計算した。
結果:
われわれは570の論文をレビューし、21をフルレビューとして選択した
(κ, 0.89)。8つの論文(合計1048患者)が適格基準を満たした(κ, 0.81)。
1つ以外の全てのスタディは、エコーを使用しており
気胸の除外としてはlung slidingおよびcomet tailを使用していた。
胸部画像所見はエコーをおこなわれた1048人中864人で有用であった。
エコーは気胸に同定において90.0%の感度(95% CI, 86.5-93.9)と
98.2%の特異度(95% CI, 97.0-99.0)であった。
胸部画像は50.2%の感度(95% CI, 43.5-57.0)と
99.4%の特異度(95% CI, 98.3-99.8)であった。

結論:
気胸同定のためのエコーの使用はきわめてすぐれており
仰臥位レントゲンよりも有用である。 ベッドサイドで迅速に
おこなえるエコーは簡便かつ有用な検査であることから
このスタディは気胸の同定にエコーをルーチンに用いることを
支持するものである。
以下の通りである。
1.lung slidingの消失
呼吸運動に伴う胸膜の動きを診ているもので、
正常であれば横にスライドしている像が確認できる。
気胸があるとlung slidingが消失する。
アニメーション動画などで見ないとわからないと思う。
YOUTUBEにたくさん転がっているので確認すべし。
2.commet tail artifactの消失
正常では胸膜から下に向かって伸びるエコー上のアーチファクトが
確認できることがあるが、気胸ではこれが消失する。
コンソリデーション等がある場合、増強すると言われており
病的肺の診断にも用いられる。

comet tail artifactのことをB-lineとも呼ぶことがあるが
これは、B-lineが3本以上・間隔が7mm以内といった
密な所見のときに間質性の疾患(肺水腫)などを疑うと
いう場面で用いられる用語である。なお、皮下にできる
B-line likeのものは、E-lineと呼ぶ。これは皮下気腫を意味する。

M-modeでは肺実質は呼吸性変動でsandy patternになる。
これはあたかも波が打ち寄せる砂浜のように見えるため
seashore signとも呼ばれる。気胸の場合、
seashore signの特徴であるsandy patternが消失する。

A-lineは肺内にできるB-lineと直交する線のことで、
1.のsea shore signと平行にできる肺内のエコーシャドウ
のことである。正常でも観察されるが、lung slidingがあり
増強しているときは気管支喘息やCOPDなどを疑う。
lung slidingがないのに増強しているときは、気胸を疑う。
過去にエコーによる気胸診断についてはメタアナリシスを紹介した。
・気胸診断において超音波は感度特異度ともに高い
今月のCHESTから、気胸診断のエコーのメタアナリシスがまた出ていた。
Discussionにも記載されていたが、このメタアナリシスは
多くが外傷救急における論文を引用したものなので、
基本的に仰臥位レントゲンとエコーの話であることに注意したい。
なお、出版バイアス等についてのDiscussionがされていない。
Khaled Alrajhi, et al.
Test Characteristics of Ultrasonography for the Detection of Pneumothorax
A Systematic Review and Meta-analysis
CHEST 2012; 141(3):703–708
背景:
気胸は潜在的に生命にかかわる病態である。CT検査は診断において標準的な
位置づけであるが、胸部レントゲンは気胸の診断を除外する目的でも
よく使われている。われわれは、臨床的に気胸と疑われ
CTを使用したりあるいは脱気を行われた患者における
エコーと仰臥位レントゲンの検査特性を比較した。
方法:
われわれはMEDLINE、EMBASEの英語文献を検索した。
2人の独立した研究者が適格論文をレビューするために
標準化をおこなった。抽出したデータの質評価は、診断精度研究質評価ツール
(QUADAS)の判定基準に基づいて行われた。
われわれはメタナアリシス実施前に
試験選択においてκ係数による一致度を計算した。
結果:
われわれは570の論文をレビューし、21をフルレビューとして選択した
(κ, 0.89)。8つの論文(合計1048患者)が適格基準を満たした(κ, 0.81)。
1つ以外の全てのスタディは、エコーを使用しており
気胸の除外としてはlung slidingおよびcomet tailを使用していた。
胸部画像所見はエコーをおこなわれた1048人中864人で有用であった。
エコーは気胸に同定において90.0%の感度(95% CI, 86.5-93.9)と
98.2%の特異度(95% CI, 97.0-99.0)であった。
胸部画像は50.2%の感度(95% CI, 43.5-57.0)と
99.4%の特異度(95% CI, 98.3-99.8)であった。

結論:
気胸同定のためのエコーの使用はきわめてすぐれており
仰臥位レントゲンよりも有用である。 ベッドサイドで迅速に
おこなえるエコーは簡便かつ有用な検査であることから
このスタディは気胸の同定にエコーをルーチンに用いることを
支持するものである。
by otowelt
| 2012-03-07 06:24
| 呼吸器その他