IPFにおけるFVC10%以上の減少の相対的計算は予後予測に正確

Luca Richeldi, et al.
Relative versus absolute change in forced vital capacity in idiopathic pulmonary fibrosis
Thorax doi:10.1136/thoraxjnl-2011-201184


背景:
 FVCの減少は長らくIPF患者の死亡を予測する因子として
 信頼されてきた。臨床プラクティスにおける使用でも
 推奨されてはいるが、相対的減少か絶対的減少か
 どちらが死亡予測に関して有用であるかはわかっていない。

方法:
 IPF患者において、ベースラインと12ヵ月後の
 FVCデータがある2つのプロスペクティブコホートが
 組み込まれた。10%以上のFVC減少は2方法で
 計算された。すなわち、
 相対的10%減少(eg, from 60% predicted to 54% predicted)
 絶対的10%減少(eg, from 60% predicted to 50% predicted)
 である。予測値が60%である場合、その10%は6%になるので
 60-6=54%ということになる。
 また絶対値での10%は60-10=50%ということを意味している。
 2年の無臓器移植12ヶ月生存率を比較した。

結果:
 いかなるFVC10%以上の減少においても
 相対的変化を用いた方が大きかった。
 両計算法ともに、2年の無臓器移植12ヶ月生存率に同様の正確性が
 あり、ベースライン特性を補正した後も有意差がみられた。
 絶対的計算法は5%以上の減少でも予測性がある。

結論:
 FVCの相対的な変化を用いて10%以上の減少を同定
 することで、予後推定の正確性を損なうことなく
 減少変化を最大に同定することができると考えられる。
 FVC5%以上の減少という基準は恒常性がない(not hold true)。
 これらの知見は、臨床試験をデザインする上でも
 重要なものである。
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by otowelt | 2012-03-23 06:04 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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