ボツリヌス毒素Aの成人慢性頭痛に対する効果
2012年 04月 30日
顔面のしわ取りを目的にボトックス治療を受けた患者において
片頭痛が軽くなることが2000年に発見され、いろいろな臨床試験が
実施されてきた。頭が破裂しそうなcrushingタイプ、締め付けられるような
vicelikeタイプ、眼球が飛び出るくらい痛いeye-popping:ocularタイプの
片頭痛には効果があるとされている。
Christine C. Kim, et al. Predicting Migraine Responsiveness to Botulinum Toxin Type A Injections. Arch Dermatol 2010; 146: 159-163
JAMAより、効果的であるとの報告。
ただし1ヶ月に頭痛エピソード2回程度の減少と関連しているのみで
思ったほどの効果ではなさそうだ。
Jeffrey L. Jackson, et al.
Botulinum Toxin A for Prophylactic Treatment of Migraine and Tension Headaches in Adults
A Meta-analysis
JAMA. 2012;307(16):1736-1745. doi: 10.1001/jama.2012.505
背景:
ボツリヌス毒素Aは慢性偏頭痛の予防に対して効果があると
考えられている。
目的:
ボツリヌス毒素Aが成人の偏頭痛の予防治療に有用かどうか評価する。
データ:
MEDLINE, EMBASE,Cochrane trial registriesなど。
1966年から2012年までのデータを使用。
試験は、成人の頭痛においてボツリヌス毒素Aとプラセボを
比べた試験を登録した。
結果:
ボツリヌス毒素Aは、chronic dailyの頭痛患者において
1ヶ月あたりの頭痛の減少と関連(1115 patients,
−2.06 頭痛/月; 95% CI, −3.56 to −0.56; 3試験)、
また慢性偏頭痛患者においても同様であった(n = 1508,
−2.30 頭痛/月; 95% CI, −3.66 to −0.94; 5試験)。
episodic偏頭痛においては有意差はみられなかった
(n = 1838, 0.05頭痛/月; 95% CI, −0.26 to 0.36; 9試験)。
慢性緊張型頭痛においても同様に差はみられなかった
(n = 675, −1.43頭痛/月; 95% CI, −3.13 to 0.27; 7試験)。
1つの試験において、ボツリヌス毒素Aは、バルプロ酸と比べて
偏頭痛減少と関連性はみられず(SMD, −0.20;
95% CI, −0.91 to 0.31)。topiramate
(SMD, 0.20; 95% CI, −0.36 to 0.76)や、アミノトリプチン
(SMD, 0.29; 95% CI, −0.17 to 0.76)においても関連性なし。
ボツリヌス毒素Aは慢性緊張型頭痛においてメチルプレドニゾロン点滴静注
と比べて、頭痛減少に関連(SMD, −2.5; 95% CI, −3.5 to −1.5)。
結論:
ボツリヌス毒素Aは、プラセボと比較して、成人の
chronic daylyの頭痛、偏頭痛において中等度相当の効果と関連
していたが、epidsodicな偏頭痛や緊張型頭痛とは関連性がみられない。
片頭痛が軽くなることが2000年に発見され、いろいろな臨床試験が
実施されてきた。頭が破裂しそうなcrushingタイプ、締め付けられるような
vicelikeタイプ、眼球が飛び出るくらい痛いeye-popping:ocularタイプの
片頭痛には効果があるとされている。
Christine C. Kim, et al. Predicting Migraine Responsiveness to Botulinum Toxin Type A Injections. Arch Dermatol 2010; 146: 159-163
JAMAより、効果的であるとの報告。
ただし1ヶ月に頭痛エピソード2回程度の減少と関連しているのみで
思ったほどの効果ではなさそうだ。
Jeffrey L. Jackson, et al.
Botulinum Toxin A for Prophylactic Treatment of Migraine and Tension Headaches in Adults
A Meta-analysis
JAMA. 2012;307(16):1736-1745. doi: 10.1001/jama.2012.505
背景:
ボツリヌス毒素Aは慢性偏頭痛の予防に対して効果があると
考えられている。
目的:
ボツリヌス毒素Aが成人の偏頭痛の予防治療に有用かどうか評価する。
データ:
MEDLINE, EMBASE,Cochrane trial registriesなど。
1966年から2012年までのデータを使用。
試験は、成人の頭痛においてボツリヌス毒素Aとプラセボを
比べた試験を登録した。
結果:
ボツリヌス毒素Aは、chronic dailyの頭痛患者において
1ヶ月あたりの頭痛の減少と関連(1115 patients,
−2.06 頭痛/月; 95% CI, −3.56 to −0.56; 3試験)、
また慢性偏頭痛患者においても同様であった(n = 1508,
−2.30 頭痛/月; 95% CI, −3.66 to −0.94; 5試験)。
episodic偏頭痛においては有意差はみられなかった
(n = 1838, 0.05頭痛/月; 95% CI, −0.26 to 0.36; 9試験)。
慢性緊張型頭痛においても同様に差はみられなかった
(n = 675, −1.43頭痛/月; 95% CI, −3.13 to 0.27; 7試験)。
1つの試験において、ボツリヌス毒素Aは、バルプロ酸と比べて
偏頭痛減少と関連性はみられず(SMD, −0.20;
95% CI, −0.91 to 0.31)。topiramate
(SMD, 0.20; 95% CI, −0.36 to 0.76)や、アミノトリプチン
(SMD, 0.29; 95% CI, −0.17 to 0.76)においても関連性なし。
ボツリヌス毒素Aは慢性緊張型頭痛においてメチルプレドニゾロン点滴静注
と比べて、頭痛減少に関連(SMD, −2.5; 95% CI, −3.5 to −1.5)。
結論:
ボツリヌス毒素Aは、プラセボと比較して、成人の
chronic daylyの頭痛、偏頭痛において中等度相当の効果と関連
していたが、epidsodicな偏頭痛や緊張型頭痛とは関連性がみられない。
by otowelt
| 2012-04-30 21:45
| 内科一般