粟粒肺内転移をきたした非小細胞肺癌ではEGFR遺伝子変異の頻度が高い
2012年 05月 05日

言葉があるが、粟粒肺癌、粟粒肺内転移という
訳もあるものの、これぞという日本語訳はまだない。
Laack E, et al. Miliary never-smoking adenocarcinoma of the lung: strong association with epidermal growth factor receptor exon 19 deletion. J Thorac Oncol 2011; 6: 199-202.
粟粒肺内転移をきたした非小細胞肺癌において、
EGFR陽性率が高かったというERJからの報告。
Shang-Gin Wu, et al.
Frequent EGFR Mutations in NSCLC Presenting with Miliary Intrapulmonary Carcinomatosis
Eur Resp J ,Published online before print April 20, 2012,
背景:
非小細胞肺癌(NSCLC)で粟粒肺内転移:miliary intrapulmonary
carcinomatosis (MIPC)をきたすことはまれである。
われわれは、NSCLCにおいて初期診断においてMIPCをきたした患者の
臨床的特徴やEGFRの頻度を調べた。
方法:
2004年6月から2008年12月の間、われわれは
NSCLCと新規に診断した患者において画像診断上MIPCをきたした
患者をスクリーニングした。われわれは臨床的データとEGFR遺伝子変異を
調べた。比較として、われわれはMIPCのないNSCLC患者からの検体で
EGFR遺伝子変異を2001年4月から2008年11月の間調べた。
結果:
3612人のNSCLC患者のうち、85人に初期にMIPCが同定された。
81人が腺癌であった。85人のうち、60人にEGFR遺伝子変異
スクリーニングを施行し、42人(70%)が陽性であった。
673人のIV期非MIPC-NSCLCと比較すると、MIPC患者は
有意にEGFR遺伝子変異率が高かった(p =0.036)
(Del-19が35%、L858Rが20%であった)。
男性喫煙者のほうがその率が高かった(91%)。OSの予後予測因子を
同定するMIPC85人の多変量解析において、腺癌、肺外転移がないこと、
EGFR遺伝子変異陽性は、長期生存と関連していた。
結論:
初期にMIPCをきたしたNSCLC患者では、腺癌とEGFR遺伝子変異の
頻度が高かった。EGFR-TKIはMIPCをきたしたアジア人患者において
有用な治療選択肢となりうるかもしれない。
by otowelt | 2012-05-05 17:19 | 肺癌・その他腫瘍