結核性髄膜炎とその他の髄膜炎の鑑別

 ブログの文について、改行した方が見やすいという意見もあったので、段落を設けて適宜改行するようにしてみた。模索中。
 
 IJTLDから結核性髄膜炎の臨床・検査データからの面白そうな論文が出たのだが、全文が読めないので全然わからない(すいません)。最近結核性髄膜炎を勉強しているのだが、あまり論文も多くないため難しい疾患だなぁと思う。IJTLDの論文は、成人における結核性髄膜炎の臨床所見、髄液所見からの鑑別が容易であるという論文だった。小児での報告もそうだが、”前駆期がある”というのが大きな特徴だ。
Kumar R, et al. A diagnostic rule for tuberculous meningitis. Arch Dis Child 81; 221-224: 1999.

Hristea, A, et al.
Clinical prediction rule for differentiating tuberculous from viral meningitis
The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease, Volume 16, Number 6, 1 June 2012 , pp. 793-798(6)


セッティング:
 ルーマニア、ブカレストにあるマテイ・バルシュ国立感染症研究所(The Professor Dr Matei Bals National Institute of Infectious Diseases)における研究

目的:
 臨床医にとって患者が結核性髄膜炎なのかウイルス性髄膜炎なのかを鑑別できるような予測ルールをつくること。

デザイン:
 われわれはレトロスペクティブに2001年から20011年の間にウイルス性髄膜炎、結核性髄膜炎で入院した患者を解析した。結核性髄膜炎の患者は、すでにコンセンサスが得られている定義に基づいて診断され、ウイルス性髄膜炎はウイルス性の疫学的根拠があることや細菌性、真菌性、その他非感染性髄膜炎を否定したものとして本研究に組み込んだ。

結果:
 433人のウイルス性髄膜炎患者と101人の結核性髄膜炎患者が同定され、臨床的特徴や検査データが比較された。多変量解析によると、結核性髄膜炎と以下の項目について統計学的に有意に関連性がみられた。
 すなわち、入院5日以上前の症状持続期間、神経障害の存在(意識変容、痙攣、神経巣症状、多発脳神経麻痺、片麻痺、不全対麻痺)、髄液糖/血液糖比<0.5、髄液タンパク>100mg/dl。
 われわれは、ロジスティック回帰モデルに由来する係数に基づいた診断的スコアを提示した(感度92%、特異度94%)。

結論:
 われわれのスタディによれば、簡便な臨床的あるいは検査データによって結核性髄膜炎を他の髄膜炎を鑑別することは極めて有用であると考えられる。
by otowelt | 2012-05-15 07:04 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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