ATS 2012:ICU入室前のSSRI・SNRIは院内死亡リスクを上昇

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Katherine. M. Berg, et al.
Pre-Admission Use Of Selective Serotonin Reuptake Inhibitors Is Associated With ICU Mortality
ATS 2012, Session C24, May 22, Abstract 31998


方法:
 電子カルテを用いて10568人の患者におけるICU入室後の院内死亡をみたレトロスペクティブ試験をおこなった。

結果:
 10568人の患者が登録され、1876人がSSRIあるいはSNRIをICU入室前に使用していた。これらの薬剤を使用していない患者と比較をおこなった。年齢、性別、ICD-9診断、疾患重症度、合併症によって補正をおこなったところ、ICU入室前にSSRI、SNRIを使用していた患者の院内死亡が有意に高かった(p<0.001)。このリスク増加は1年後まで遷延していた。
 患者グループのうち、リスクがもっとも高かったのはACSの患者と心臓外科手術患者であった。これらの患者において、SSRI・SNRI使用群での院内死亡リスクは実に2倍であった(OR 2.41; p<.0020 and 2.08; p<0.001, respectively)。

結論:
 ICU入室前のSSRI・SNRIの使用は院内死亡のリスクであり、心疾患患者において顕著である。
by otowelt | 2012-05-24 17:43 | 集中治療

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優