ASCO 2012速報:ROS1転座に対するクリゾチニブの有用性
2012年 06月 02日
ASCO2012、2日目のoral presentationから。
Alice Tsang Shaw, et al.
Clinical activity of crizotinib in advanced non-small cell lung cancer (NSCLC) harboring ROS1 gene rearrangement.
ASCO 2012, Abstract #7508
背景:
ROS1受容体チロシンキナーゼ遺伝子の染色体転座は非小細胞肺癌における新しい分子標的サブセットとして位置づけられている。cell lineにおいて、ROS1再構成は、ROSキナーゼ阻害によって感受性がある可能性が示唆されている。
われわれは、MET、ALK、ROSいずれも阻害するチロシンキナーゼ阻害薬であるクリゾチニブの効果と安全性をROS1染色体転座がみられた非小細胞肺癌の患者において評価した。
方法:
進行非小細胞肺癌でFISHによりROS1染色体転座がみられた患者をクリゾチニブ第I相試験において本試験に組み込んだ。クリゾチニブは250mg1日2回投与をおこなった。客観的奏効率(ORR)がRECIST 1.0において評価された。疾患制御率(DCR; stable disease [SD] + partial response [PR] + complete response [CR])が8週時において評価された。
結果:
13人の患者でROS発現がみられたクリゾチニブ治療患者を調べた。平均年齢は47歳(range 31–72)であり、1人を除く全員が非喫煙者であった。全ての患者は腺癌であった。13人中12人にALK遺伝子の検査がおこなわれたが、全員陰性であった。過去の治療数の中央値は1 (range 0–3)であった。
ORRは54%(6:PR、1:CR)で、DCRは8週時で85%であった。治療期間中央値は20週であった。12人がAbstract登録時に試験を続行している。1人がPDとなり、試験を終了した。ALK陽性患者でクリゾチニブを使用している患者群とROS変異陽性群での有害事象プロファイルについて差はみられなかった。
結論:
クリゾチニブはROS1転座を有する非小細胞肺癌において高い奏効率がみられた。ALKのようにROSも非小細胞肺癌におけるクリゾチニブが高い効果を発揮するサブポピュレーションであると想定される。
by otowelt
| 2012-06-02 20:54
| 肺癌・その他腫瘍