市中肺炎における動脈血二酸化炭素分圧の異常は死亡リスクを上昇
2012年 06月 14日
Laserna E, et al.
Hypocapnia And Hypercapnia Are Predictors For ICU Admission And Mortality In Hospitalized Patients With Communit-Acquired Pneumonia
Chest. 2012 Jun 7. [Epub ahead of print]
背景:
このスタディの目的は、市中肺炎で入院した患者におけるPaCO2の異常とICU入室および30日死亡率の相関性を調べたものである。
方法:
レトロスペクティブコホート試験。市中肺炎と診断され入院となった患者を登録した。動脈血液ガス分析によって入院時にPaCO2を測定された。多変量解析において30日死亡率とICU入室を検証した。
結果:
453人のABGを採取された患者のうち、189人(41%)が正常なPaCO2であった(35-45 mmHg)。194人(42%)はPaCO2<35 mmHg (低炭酸ガス血症)であり、70人(15%)はPaCO2>45 mmHg (高炭酸ガス血症)であった。
疾患重症度による補正後の多変量解析において、低炭酸ガス血症をきたした患者は正常なPaCO2患者と比較して、30日死亡率が上昇し(OR=2.84; 95% CI; 1.28-6.30)、ICU入室の必要性も増加した(OR=2.88; 95% CI; 1.68-4.95)。加えて高炭酸ガス血症においても30日死亡率は上昇し(OR=3.38; 95% CI; 1.38-8.30)、 ICU入室の必要性も増加した(OR=5.35; 95% CI; 2.80-10.23)。この試験においてCOPD患者は除外した場合においても、両群における差は確認された。
結論:
市中肺炎で入院した患者においてPaCO2が増加・低下しているときは、ICU入室や30日死亡率が増加する可能性がある。このリスクはCOPD患者における市中肺炎患者を除外したあともみられた。そのため、PaCO2はハイレベルケアをおこなう必要性のあるような、死亡率上昇リスクが想定される患者を同定するための重症度基準において将来的に重要な項目となるであろう。
by otowelt
| 2012-06-14 04:49
| 感染症全般