肺癌切除前胸腔内洗浄細胞診は予後予測にきわめて有用
2012年 06月 20日
Srdjan Saso,et al.
Positive pre-resection pleural lavage cytology is associated with increased risk of lung cancer recurrence in patients undergoing surgical resection: a meta-analysis of 4450 patients
Thorax 2012;67:526-532
背景:
早期肺癌における胸腔洗浄細胞診pleural lavage cytology (PLC)の予後アセスメントへの付加価値については議論のわかれるところである。PLCと肺癌再発におけるシステマティックレビューはいままでなかった。われわれの仮説は以下の通りである
1.切除前PLCが陽性であった場合、肺癌再発に関連
2.切除前PLCが陽性であった場合、胸腔あるいは遠隔特異的な肺癌再発に関連
3.切除前PLCが陽性であった場合、肺癌全患者およびstageIにおける生存アウトカム不良と関連
この試験の目標は、外科手術を受けた患者において切除前PLCと胸腔および遠隔腫瘍再発との関連性をしらべたものである。
方法:
Medline, EMBASE, Cochrane Library、Google Scholarデータベースで2011年1月までの文献を調べた。以下のMESHにおいてPubMedでも検索をおこなっている;Lung neoplasm; Non-small cell lung cancer。データは、以下のアウトカムが抽出された:全再発率、局所および遠隔再発率、生存(全患者およびstage I)。ランダム効果モデルによるメタアナリシスを施行。PRISMA, MOOSE、Cochrane Collaborationガイドラインに基づいた方法とした。
結果:
最終的に8試験4450人がプライマリアウトカムである再発において解析妥当と判断された。
8試験におけるメタアナリシスにおいて、切除前PLCが陽性であった場合、切除後の全再発におけるリスクを上昇させた(OR 4.82, 95% CI 2.45to 9.51)。 同様に胸腔内再発(OR 9.89, 95% CI 5.95 to16.44)、遠隔再発(OR 3.18, 95% CI1.57 to 6.46)もリスクが上昇した。
さらに、17試験におけるメタアナリシスでは、切除前PLCが陽性であった場合、生存においてもアウトカム不良であった(HR 2.08, 95% CI1.71 to 2.52)。
出版バイアスは確認されなかった。
limitations:
比較的高いレベルのheterogeneityが確認されたこと。これはおそらく適格基準、患者特性、治療プロトコル、術中手技などにばらつきが出たためと考えられる。
ディスカッション:
切除前PLC陽性は、全再発、局所・遠隔再発、生存アウトカム不良と関連していた。この手技は、腫瘍再発や生存的な予後予測が可能であると考えられる。さらに、アジュバント化学療法の是否を含めたこの手技の役割について、ランダム化試験を将来的におこなうべきであろう。
Positive pre-resection pleural lavage cytology is associated with increased risk of lung cancer recurrence in patients undergoing surgical resection: a meta-analysis of 4450 patients
Thorax 2012;67:526-532
背景:
早期肺癌における胸腔洗浄細胞診pleural lavage cytology (PLC)の予後アセスメントへの付加価値については議論のわかれるところである。PLCと肺癌再発におけるシステマティックレビューはいままでなかった。われわれの仮説は以下の通りである
1.切除前PLCが陽性であった場合、肺癌再発に関連
2.切除前PLCが陽性であった場合、胸腔あるいは遠隔特異的な肺癌再発に関連
3.切除前PLCが陽性であった場合、肺癌全患者およびstageIにおける生存アウトカム不良と関連
この試験の目標は、外科手術を受けた患者において切除前PLCと胸腔および遠隔腫瘍再発との関連性をしらべたものである。
方法:
Medline, EMBASE, Cochrane Library、Google Scholarデータベースで2011年1月までの文献を調べた。以下のMESHにおいてPubMedでも検索をおこなっている;Lung neoplasm; Non-small cell lung cancer。データは、以下のアウトカムが抽出された:全再発率、局所および遠隔再発率、生存(全患者およびstage I)。ランダム効果モデルによるメタアナリシスを施行。PRISMA, MOOSE、Cochrane Collaborationガイドラインに基づいた方法とした。
結果:
最終的に8試験4450人がプライマリアウトカムである再発において解析妥当と判断された。
8試験におけるメタアナリシスにおいて、切除前PLCが陽性であった場合、切除後の全再発におけるリスクを上昇させた(OR 4.82, 95% CI 2.45to 9.51)。
さらに、17試験におけるメタアナリシスでは、切除前PLCが陽性であった場合、生存においてもアウトカム不良であった(HR 2.08, 95% CI1.71 to 2.52)。
出版バイアスは確認されなかった。
limitations:
比較的高いレベルのheterogeneityが確認されたこと。これはおそらく適格基準、患者特性、治療プロトコル、術中手技などにばらつきが出たためと考えられる。
ディスカッション:
切除前PLC陽性は、全再発、局所・遠隔再発、生存アウトカム不良と関連していた。この手技は、腫瘍再発や生存的な予後予測が可能であると考えられる。さらに、アジュバント化学療法の是否を含めたこの手技の役割について、ランダム化試験を将来的におこなうべきであろう。
by otowelt
| 2012-06-20 05:56
| 肺癌・その他腫瘍