メトホルミンは癌死亡リスクを減少
2012年 10月 30日
メトホルミンは、肺癌の分野でも少し注目されていますね。ちなみにメトホルミンと癌のリスク減少については過去にいくつか報告されています(Cancer Prev Res (Phila) 3: 1451–1461, 2010.,Diabetes Care 34: 2323–2328,2011.)。
Hiroshi Noto, et al.
Cancer Risk in Diabetic Patients Treated with Metformin: A Systematic Review and Meta-analysis
PLoS One. 2012;7(3):e33411
背景:
メトホルミンは潜在的ではあるが癌のリスクを下げると示唆されている。われわれの目的は、糖尿病患者においてメトホルミンが、部位を問わない癌あるいは臓器特異的な癌のリスクに対する効果検証するものである。
方法:
MEDLINE, EMBASE, ISI Web of Science, Cochrane Library, ClinicalTrials.govにおいて、2011年10月12日の時点で出版されている論文を調査し、システマティックレビューおよびメタアナリシスを施行した。検索ワード:‘diabetes’, ‘metformin’, ‘cancer’ or ‘neoplasms’, and ‘risk’ or ‘risk factors’。総癌死亡率と癌の頻度を計算した(リスク比)。
結果:
6試験(4:コホート試験、2:ランダム化比較試験)で21195人の糖尿病患者が登録され、991人(4.5%)が癌によって死亡した。10試験(2:ランダム化比較試験、6:コホート試験、2:症例対照研究)210892人のうち、11117人(5.3%)に癌の発生がみられた。
メトホルミン使用者における癌のリスクは有意に非メトホルミン使用者より低かった(癌死亡RR 0.66, 95%CI 0.49–0.88、全ての癌発症RR0.67, 0.53–0.85、大腸癌RR0.68, 0.53–0.88、肝細胞癌RR0.20, 0.07–0.59、肺癌RR0.67 , 0.45–0.99)。 ほかの癌種については統計学的有意差はみられなかった(前立腺癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌)。 Discussion:
メトホルミンが癌の発生・死亡リスクを抑制する理由として、体重増加の抑制や高インスリン血症の改善などが考えられる。また、メトホルミンとAMPK経路の関連が示唆される。LKB1はAMPK経路の上流にあり、メトホルミンがLKB1依存性の腫瘍形成を阻害している可能性がある。
結論:
糖尿病患者におけるメトホルミン使用は有意に癌死亡と癌発症を減少させる。しかしながら、この解析はおもに観察研究に基づいており、長期のランダム化比較試験が必要であると考えられる。
Hiroshi Noto, et al.
Cancer Risk in Diabetic Patients Treated with Metformin: A Systematic Review and Meta-analysis
PLoS One. 2012;7(3):e33411
背景:
メトホルミンは潜在的ではあるが癌のリスクを下げると示唆されている。われわれの目的は、糖尿病患者においてメトホルミンが、部位を問わない癌あるいは臓器特異的な癌のリスクに対する効果検証するものである。
方法:
MEDLINE, EMBASE, ISI Web of Science, Cochrane Library, ClinicalTrials.govにおいて、2011年10月12日の時点で出版されている論文を調査し、システマティックレビューおよびメタアナリシスを施行した。検索ワード:‘diabetes’, ‘metformin’, ‘cancer’ or ‘neoplasms’, and ‘risk’ or ‘risk factors’。総癌死亡率と癌の頻度を計算した(リスク比)。
結果:
6試験(4:コホート試験、2:ランダム化比較試験)で21195人の糖尿病患者が登録され、991人(4.5%)が癌によって死亡した。10試験(2:ランダム化比較試験、6:コホート試験、2:症例対照研究)210892人のうち、11117人(5.3%)に癌の発生がみられた。
メトホルミン使用者における癌のリスクは有意に非メトホルミン使用者より低かった(癌死亡RR 0.66, 95%CI 0.49–0.88、全ての癌発症RR0.67, 0.53–0.85、大腸癌RR0.68, 0.53–0.88、肝細胞癌RR0.20, 0.07–0.59、肺癌RR0.67 , 0.45–0.99)。
メトホルミンが癌の発生・死亡リスクを抑制する理由として、体重増加の抑制や高インスリン血症の改善などが考えられる。また、メトホルミンとAMPK経路の関連が示唆される。LKB1はAMPK経路の上流にあり、メトホルミンがLKB1依存性の腫瘍形成を阻害している可能性がある。
結論:
糖尿病患者におけるメトホルミン使用は有意に癌死亡と癌発症を減少させる。しかしながら、この解析はおもに観察研究に基づいており、長期のランダム化比較試験が必要であると考えられる。
by otowelt
| 2012-10-30 00:01
| 内科一般