間質性肺疾患のある患者への呼吸リハビリテーションは有効
2012年 10月 30日

Patrick Huppmann, et al.
Effects of In-Patient Pulmonary Rehabilitation in Patients with Interstitial Lung Disease
ERJ Published online before print October 25, 2012
背景:
呼吸リハビリテーションは、国際的ガイドラインにおいても特発性肺線維症(IPF)を含む慢性肺疾患患者に推奨されている。
Raghu G, et al, ATS/ERS/JRS/ALAT Committee on Idopathic Pulmonary Fibrosis. An official ATS/ERS/JRS/ALAT statement: Idiopathic pulmonary fibrosis: evidence-based guidelines for diagnosis and management. Am J Respir Crit Care Med 2011; 183:788-824
しかしながら、間質性肺疾患患者に対するデータは非常に限られている。そのため、わたしたちは入院している間質性肺疾患患者の機能ステータスやQOLに対する呼吸リハビリテーションの効果を検証した。
方法:
1999年から2010年までにSchoen Klinik Berchtesgadener Land呼吸リハビリテーションセンターに入院した402人の連続した間質性肺疾患患者を評価した。すべての患者は、入退院時の呼吸機能検査、血液ガス分析、6分間歩行試験、SF36を含む標準化された呼吸リハビリテーションプログラムを受けた。
結果:
患者平均年齢は60±1歳(range 21-89)で、202人(50%)がIPFの確定診断を受け、21人(5%)はIPF以外の特発性間質性肺炎(NSIP,COP)、59人(15%)が過敏性肺炎、50人(12%)がサルコイドーシス、24人(6%)が膠原病肺、46人(12%)が薬剤や放射線などのその他の原因による間質性肺疾患であった。299人(74%)が肺移植登録患者であった。111人(28%)が肺高血圧の徴候があった。80%の患者は在宅酸素療法を受けていた。全体の平均肺活量は予測値の54±1%であった。
平均呼吸リハビリテーション期間は30±1日であった。6分間歩行試験は46±3m (308±6m vs.354±6m, p<0.001)の改善がみられた。呼吸困難に変化はみられなかった。呼吸機能検査は、肺活量の改善がみられた(+1±0%, p=0.002)。SF-36は身体的・精神的健康サマリースコアと同様8つのサブスコア全てで増加がみられた(physical: 6±1 points, p<0.001; mental-health: 10±1 points, p<0.001)。さらに、肺高血圧徴候のある患者においても呼吸リハビリテーションの効果がみられた。

・ランダム化試験ではないこと
・患者側の因子だけでなく、治療者側の意欲も結果に影響している可能性がある
・患者の何人かは病状の悪化で入院してきた経緯があり、アウトカム改善が呼吸リハビリテーションによるものだけではない可能性がある
結論:
この大規模コホート試験によって、間質性肺疾患のある患者への呼吸リハビリテーションは、機能ステータスやQOLに効果がみられることがわかった。
by otowelt
| 2012-10-30 13:57
| びまん性肺疾患