慢性緑膿菌感染のある嚢胞性線維症患者に対するコリスチンドライパウダー製剤はトブラマイシン吸入に非劣性
2012年 11月 09日
国際的な学会では話題を集めています、緑膿菌感染を有する嚢胞性線維症に対するコリスチン吸入製剤であるターボスピン®ドライパウダー吸入の話題です。ペンのように細く、デザインもイタリアならではのクールなものです。
PH&T社(http://www.phtpharma.com/medical-devices/products/turbospin-dpi.html)より
嚢胞性線維症は日本ではきわめて少ない疾患ですが、慢性緑膿菌感染を有する気管支拡張患者さんは数多くおられます。緑膿菌性肺炎を何度も繰り返し、喀痰に溺れるような患者さんも時におられますが、医師として非常につらいものがあります。そういった時に限って大量に検出される緑膿菌が耐性化傾向があるものだったりします。トブラマイシン(トービイ)吸入もそうですが、是非とも適応拡大をお願いしたいところです。
・トブラマイシン吸入製剤(トービイ吸入液)製造承認
以下、Thoraxの今回の記事です。
Antje Schuster, et al.
Safety, efficacy and convenience of colistimethate sodium dry powder for inhalation (Colobreathe DPI) in patients with cystic fibrosis: a randomised study
Thorax Online First, published on November 7, 2012 as 10.1136/thoraxjnl-2012-202059
目的:
新しい新規ドライパウダー吸入コリスチン製剤を、慢性緑膿菌感染症がある嚢胞性線維症の6歳以上の患者に使用して安全性と効果を検討するもの。
方法:
プロスペクティブランダム化第3相オープンラベル試験において、6歳以上の肺の慢性緑膿菌感染症を有する嚢胞性線維症患者を登録した。患者はランダムにColobreatheドライパウダー(CDPI:1カプセルにコリスチメート125㎎=1662500 IU含有)(Turbospin,PH&T, Milan, Italy)あるいは3回の28日サイクルのトブラマイシン吸入(TIS)300㎎1日2回に割り付けられた。
結果:
380人の患者がランダム化された。24週時点での予測一秒率の平均変化量は両群において同等であった(ITT解析374人:−0.97% 、95% CI −2.74% to 0.86%、per protocol解析261人:−0.56%、95% CI −2.71%to 1.70%)。コリスチン耐性株は両群とも1.1%以下であった。有害事象についても両群は同等であった。CDPI治療群の方がより”とても簡便あるいは使いやすい”という感想を持たれた(90.7% vs 53.9% respectively; p<0.001)。
結論:
緑膿菌感染を有する嚢胞性線維症患者のけるCDPI治療は、TISに対して24週間アウトカムは非劣性であった。コリスチンは耐性が少なく、治療選択肢として妥当性があるだろう。

嚢胞性線維症は日本ではきわめて少ない疾患ですが、慢性緑膿菌感染を有する気管支拡張患者さんは数多くおられます。緑膿菌性肺炎を何度も繰り返し、喀痰に溺れるような患者さんも時におられますが、医師として非常につらいものがあります。そういった時に限って大量に検出される緑膿菌が耐性化傾向があるものだったりします。トブラマイシン(トービイ)吸入もそうですが、是非とも適応拡大をお願いしたいところです。
・トブラマイシン吸入製剤(トービイ吸入液)製造承認
以下、Thoraxの今回の記事です。
Antje Schuster, et al.
Safety, efficacy and convenience of colistimethate sodium dry powder for inhalation (Colobreathe DPI) in patients with cystic fibrosis: a randomised study
Thorax Online First, published on November 7, 2012 as 10.1136/thoraxjnl-2012-202059
目的:
新しい新規ドライパウダー吸入コリスチン製剤を、慢性緑膿菌感染症がある嚢胞性線維症の6歳以上の患者に使用して安全性と効果を検討するもの。
方法:
プロスペクティブランダム化第3相オープンラベル試験において、6歳以上の肺の慢性緑膿菌感染症を有する嚢胞性線維症患者を登録した。患者はランダムにColobreatheドライパウダー(CDPI:1カプセルにコリスチメート125㎎=1662500 IU含有)(Turbospin,PH&T, Milan, Italy)あるいは3回の28日サイクルのトブラマイシン吸入(TIS)300㎎1日2回に割り付けられた。
結果:
380人の患者がランダム化された。24週時点での予測一秒率の平均変化量は両群において同等であった(ITT解析374人:−0.97% 、95% CI −2.74% to 0.86%、per protocol解析261人:−0.56%、95% CI −2.71%to 1.70%)。コリスチン耐性株は両群とも1.1%以下であった。有害事象についても両群は同等であった。CDPI治療群の方がより”とても簡便あるいは使いやすい”という感想を持たれた(90.7% vs 53.9% respectively; p<0.001)。

結論:
緑膿菌感染を有する嚢胞性線維症患者のけるCDPI治療は、TISに対して24週間アウトカムは非劣性であった。コリスチンは耐性が少なく、治療選択肢として妥当性があるだろう。
by otowelt
| 2012-11-09 05:24
| 感染症全般