IPF治療にST合剤を加えることはper-protocol解析で総死亡率低下に寄与
2012年 11月 14日
治療内容を問わずper-protocol解析では生存に差が出ているという報告です。本当にST合剤の生存を検証するのであれば、無治療IPFに対するランダム化比較試験が妥当かと思われます。
Ludmila Shulgina, et al.
Treating idiopathic pulmonary fibrosis with the addition of co-trimoxazole: a randomised controlled trial
Thorax Online First, published on November 10, 2012
背景:
特発性肺線維症(IPF)は、治療法の限られた重篤な疾患である。しかしながら、過去の小さなスタディではST合剤(co-trimoxazole)が利益があるとされている。
方法:
多施設共同二重盲検において181人の線維化のある特発性間質性肺炎を登録し、89%がdefinite/probable IPFと診断された(他はf-NSIPなど)。適格基準は40歳以上、MRC≧2、少なくとも6週間治療内容が変わっていない患者。二次性の慢性間質性肺炎と同定された場合、プレドニゾロン、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル以外の免疫抑制剤使用患者は除外された。
患者らはランダムにco-trimoxazole 960mg1日2回を投与する群とプラセボ群に12ヵ月間割り付けられた(通常治療に上乗せ:プレドニゾロンやアザチオプリン内服患者も登録)。
評価項目は、プライマリエンドポイントを努力肺活量(FVC)とし、そのほかDLCO、EuroQol (EQ5D)-based utility、6分間歩行試験、MRC息切れスケールなどをセカンダリエンドポイントとした。総死亡率と有害事象が記録された。
結果:
co-trimoxazoleは、FVCに対して影響を与えなかった(平均差15.5 ml (95% CI −93.6 to 124.6))。また、DLCO(平均差−0.12 mmol/min/kPa (95% CI 0.41 to 0.17))、6分間歩行試験、MRC息切れスケールにも差がみられなかった(ITT解析)。per-protocol解析では、プラセボと比較してEQ5D-based utility (平均差0.12 (95% CI 0.01 to 0.22))、酸素投与量増加を要した患者比率に差がみられ(OR 0.05 (95% CI 0.00 to 0.61))、総死亡率を下げた(co-trimoxazole 3/53, placebo 14/65, HR 0.21 (95% CI 0.06 to 0.78), p=0.02))。
co-trimoxazoleは気道感染を減らしたが、悪心や皮疹を増加させた。
Discussion:
・治療内容(ステロイドや免疫抑制剤)による補正もおこない解析をおこなっているが、それとは別に今回の効果がみられている(半数近い患者がプレドニゾロン、30%の患者がアザチオプリンを使用)
結論:
線維化のある慢性間質性肺炎に対するco-trimoxazoleの標準治療への上乗せは呼吸機能への影響には寄与しないが、QOLや死亡を減少させる可能性がある。
Ludmila Shulgina, et al.
Treating idiopathic pulmonary fibrosis with the addition of co-trimoxazole: a randomised controlled trial
Thorax Online First, published on November 10, 2012
背景:
特発性肺線維症(IPF)は、治療法の限られた重篤な疾患である。しかしながら、過去の小さなスタディではST合剤(co-trimoxazole)が利益があるとされている。
方法:
多施設共同二重盲検において181人の線維化のある特発性間質性肺炎を登録し、89%がdefinite/probable IPFと診断された(他はf-NSIPなど)。適格基準は40歳以上、MRC≧2、少なくとも6週間治療内容が変わっていない患者。二次性の慢性間質性肺炎と同定された場合、プレドニゾロン、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル以外の免疫抑制剤使用患者は除外された。
患者らはランダムにco-trimoxazole 960mg1日2回を投与する群とプラセボ群に12ヵ月間割り付けられた(通常治療に上乗せ:プレドニゾロンやアザチオプリン内服患者も登録)。
評価項目は、プライマリエンドポイントを努力肺活量(FVC)とし、そのほかDLCO、EuroQol (EQ5D)-based utility、6分間歩行試験、MRC息切れスケールなどをセカンダリエンドポイントとした。総死亡率と有害事象が記録された。
結果:
co-trimoxazoleは、FVCに対して影響を与えなかった(平均差15.5 ml (95% CI −93.6 to 124.6))。また、DLCO(平均差−0.12 mmol/min/kPa (95% CI 0.41 to 0.17))、6分間歩行試験、MRC息切れスケールにも差がみられなかった(ITT解析)。per-protocol解析では、プラセボと比較してEQ5D-based utility (平均差0.12 (95% CI 0.01 to 0.22))、酸素投与量増加を要した患者比率に差がみられ(OR 0.05 (95% CI 0.00 to 0.61))、総死亡率を下げた(co-trimoxazole 3/53, placebo 14/65, HR 0.21 (95% CI 0.06 to 0.78), p=0.02))。
co-trimoxazoleは気道感染を減らしたが、悪心や皮疹を増加させた。

・治療内容(ステロイドや免疫抑制剤)による補正もおこない解析をおこなっているが、それとは別に今回の効果がみられている(半数近い患者がプレドニゾロン、30%の患者がアザチオプリンを使用)
結論:
線維化のある慢性間質性肺炎に対するco-trimoxazoleの標準治療への上乗せは呼吸機能への影響には寄与しないが、QOLや死亡を減少させる可能性がある。
by otowelt
| 2012-11-14 09:34
| びまん性肺疾患