CRPと呼吸機能減衰は男性にのみ有意に関連
2013年 01月 09日

Olafsdóttir IS, et al.
CRP is associated with lung function decline in men but not women: A prospective study
Respir Med. 2013 Jan;107(1):91-7. doi: 10.1016/j.rmed.2012.09.020.
背景:
全身性の炎症は呼吸機能障害に関連している。多くのクロスセクショナルスタディでは、全身性炎症と呼吸機能障害は、女性に比べて男性に強い関連性があるという報告がなされている。この試験の目的は、全身性炎症と呼吸機能の関連を縦断的にみた場合、性差があるかどうか調べたものである。
方法:
われわれはレイキャヴィークに1940年から1950年の間に生まれた住民をランダムに抽出し、3ステージにわけて研究をおこなった。すなわち、ベースライン(1973年~1975年、1983年~1985年)、フォローアップ(2001年~2003年)である。

結果:
参加者(n=1049、女性574人)のベースライン登録時平均年齢は28±6歳であり、フォローアップ平均期間は27±4年だった。いずれの時期でも、呼吸機能(一秒量と努力肺活量)とCRPが調べられた。
登録時CRPは、男性0.63mg/L(0.57±0.70)、女性0.88mg/L(0.80±0.97)だった(p<0.0001)。

単変量解析(四分位)では男性に有意なCRPと呼吸機能の関連が確認された。

男性では、一秒量の変化(p=0.04)と努力肺活量の変化(p= 0.01)はベースライン登録時のCRPに有意に関連していたが、女性では関連性は観察されなかった。
多変量解析では、ベースライン登録時のCRPは有意に一秒量減少(3.1 mL/year, 95% CI: 5.1-0.99)、努力肺活量減少(2.5 mL/year, 95% CI: 4.4-0.65)と関連していたが、これも男性にのみ有意にみられた所見であり、女性では関連性は観察されなかった。フォローアップ中も、男性のみがCRPの変化(1SD標準化)は一秒量減少(0.19 mL/year, 95% CI: 0.30-0.07)、努力性肺活量減少(0.11 mL/year, 95% CI: 0.22-0.01)と関連していた。

結論:
このプロスペクティブ試験では、全身性炎症と呼吸機能の減衰が男性で強く関連していることがわかったが、女性では観察されなかった。これは呼吸機能の減衰メカニズムにおける性差があることを示唆するものかもしれない。
by otowelt
| 2013-01-09 00:28
| 呼吸器その他