東日本大震災における市中肺炎の発生
2013年 02月 20日
東日本大震災についてはRespiratory Investigationにも報告があり、以前ご紹介しました。
・東日本大震災における胸部外傷
今回、Thoraxから肺炎に関する報告がありました。
Hisayoshi Daito, et al.
Impact of the Tohoku earthquake and tsunami on pneumonia hospitalisations and mortality among adults in northern Miyagi, Japan: a multicentre observational study
Thorax Online First, published on February 19, 2013
背景:
2011年3月11日に東北地方の大地震と津波が東日本海岸一帯を襲った。3週間以内に肺炎の入院や死亡が地方病院で相次いだ。
方法:
多施設共同サーベイが宮城県北部の気仙沼市(人口7万4000人)の3病院で行われた。18歳以上の成人患者で2010年3月から2011年7月に市中肺炎で入院した患者をデータベースおよび診療録から同定した。
分割回帰分析(Segmented regression analyses)がおこなわれ、肺炎の頻度がどのように変化したかを検証した。 気仙沼市は、65歳以上の高齢者が30.2% (n=22421)を占め、80歳以上の高齢者は8.9% (n=6618)にのぼる。これは全国平均の数値(23%、6.4%)よりも高いものである。
結果:
合計550人の肺炎の入院があり、325人は被災前、225人は被災後であった。被災後の市中肺炎の90%が65歳以上であり、8例(3.6%)のみが津波による溺水(near-drowning)と関連していた。臨床的パターンと病原菌は被災前後を問わず同定できた。Streptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniaeが最も多くみられた病原菌であり、被災後はHaemophilus influenzaeによる肺炎が有意に多くみられた。
被災後3ヶ月の間は肺炎の頻度が右肩上がりであり、週ごとの肺炎による入院および肺炎関連死亡の発生率はそれぞれ5.7倍(95% CI 3.9 to 8.4)、8.9倍(95% CI 4.4 to 17.8)であった。この増加は介護施設の入居者に最も多く、避難場所の患者がそれに次いだ。
結論:
東北地方の大地震と津波後の成人に肺炎の発症が多くみられた。この確たる原因は同定できなかったものの、年齢やストレスなどの複数の因子が絡み合い、肺炎のアウトブレイクにつながったのではないだろうか。
・東日本大震災における胸部外傷
今回、Thoraxから肺炎に関する報告がありました。
Hisayoshi Daito, et al.
Impact of the Tohoku earthquake and tsunami on pneumonia hospitalisations and mortality among adults in northern Miyagi, Japan: a multicentre observational study
Thorax Online First, published on February 19, 2013
背景:
2011年3月11日に東北地方の大地震と津波が東日本海岸一帯を襲った。3週間以内に肺炎の入院や死亡が地方病院で相次いだ。
方法:
多施設共同サーベイが宮城県北部の気仙沼市(人口7万4000人)の3病院で行われた。18歳以上の成人患者で2010年3月から2011年7月に市中肺炎で入院した患者をデータベースおよび診療録から同定した。
分割回帰分析(Segmented regression analyses)がおこなわれ、肺炎の頻度がどのように変化したかを検証した。
結果:
合計550人の肺炎の入院があり、325人は被災前、225人は被災後であった。被災後の市中肺炎の90%が65歳以上であり、8例(3.6%)のみが津波による溺水(near-drowning)と関連していた。臨床的パターンと病原菌は被災前後を問わず同定できた。Streptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniaeが最も多くみられた病原菌であり、被災後はHaemophilus influenzaeによる肺炎が有意に多くみられた。
被災後3ヶ月の間は肺炎の頻度が右肩上がりであり、週ごとの肺炎による入院および肺炎関連死亡の発生率はそれぞれ5.7倍(95% CI 3.9 to 8.4)、8.9倍(95% CI 4.4 to 17.8)であった。この増加は介護施設の入居者に最も多く、避難場所の患者がそれに次いだ。
結論:
東北地方の大地震と津波後の成人に肺炎の発症が多くみられた。この確たる原因は同定できなかったものの、年齢やストレスなどの複数の因子が絡み合い、肺炎のアウトブレイクにつながったのではないだろうか。
by otowelt
| 2013-02-20 11:11
| 救急