ダビガトランは静脈血栓塞栓症の再発抑制効果が高く出血イベントの頻度が低い
2013年 02月 22日
腎障害患者や高齢者でなければ、ダビガトラン(プラザキサ)を使用するケースが増えてきたと思います。余談ですが、110mgに減量する症例は「BRA-P(ブラP)」と覚える方法があります(日経メディカルオンライン プライマリケア医のための心房細動入門(小田倉弘典先生)参照)。
・Bleeding history:消化管出血の既往
・Renal dysfunction:中等度腎機能障害(CCr30~50mL/分)
・Age≧70:70歳以上
・P-糖タンパク阻害薬併用:アミオダロン、ベラパミルなど
NEJMから、静脈血栓塞栓症に対するダビガトランとワーファリンの比較試験、およびダビガトランとプラセボの比較試験の2試験の報告です。2011年の国際血栓止血学会で発表された内容を論文化したものです。
Sam Schulman, et al.
Extended Use of Dabigatran, Warfarin, or Placebo in Venous Thromboembolism
N Engl J Med 2013;368:709-18.
背景:
ダビガトランは直接的にトロンビンを阻害する抗凝固薬であり、固定用量で投与することができ、また検査によるモニタリングが不要であることから、静脈血栓塞栓症の延長治療(the extended treatment)に適しているかもしれない。
方法:
2つのランダム化二重盲検試験において、3ヶ月以上の初期治療が終了した静脈血栓塞栓症患者を対象に、ダビガトラン150mg1日2回とワーファリンを比較した対照試験(33ヶ国、265施設)と、ダビガトラン150mg1日2回とプラセボを比較した対照試験(21ヶ国、147施設)をおこなった。
評価は治療開始後15日目、30日目と1ヶ月ごとに合計180日目まで続けた。両試験とも、プライマリ効果アウトカムは、症状および客観的静脈血栓塞栓症の再発、あるいは静脈血栓塞栓症による死亡(プラセボ群の説明できない死亡を含む)とした。
結果:
2006年7月から2010年7月までの間、2866人の患者がRE-MEDYに登録され、2007年11月から2010年9月までの間、1353人の患者がRE-SONATEに登録された。
●ワーファリン対照試験(RE-MEDY):
静脈血栓塞栓症の再発は、ダビガトラン群1430人中26人(1.8%)、ワーファリン群1426人中18人(1.3%)にみられた(ダビガトランのハザード比 1.44、95%信頼区間0.78~2.64、P=0.01)。
重大な出血事象は、ダビガトラン群13人(0.9%)、ワーファリン群25人(1.8%)に発生した(ハザード比 0.52、95%信頼区間 0.27~1.02)。重大な出血あるいは臨床的に重要な出血は、ダビガトラン群のほうが少なかった(ハザード比 0.54、95%信頼区間 0.41~0.71)。急性冠症候群は、ダビガトラン群13人(0.9%),ワーファリン群3人(0.2%)に発生した(P=0.02)。
●プラセボ対照試験(RE-SONATE):
静脈血栓塞栓症の再発は、ダビガトラン群681人中3人(0.4%)、プラセボ群662人中37人(5.6%)にみられた(ハザード比 0.08、95%信頼区間0.02~0.25、P<0.001)。 重大な出血は、ダビガトラン群で2人(0.3%)に発生し、プラセボ群では発生しなかった。重大な出血あるいは臨床的に重要な出血は、ダビガトラン群36人(5.3%)、プラセボ群12人(1.8%)に発生した(ハザード比 2.92、95%信頼区間 1.52~5.60)。急性冠症候群は、ダビガトラン群とプラセボ群でそれぞれ1人に発生した。
結論:
ダビガトランは、静脈血栓塞栓症の延長治療(the extended treatment)に有効であり、重大な出血あるいは臨床的に重要な出血のリスクは、ワーファリンより低かったがプラセボより高かった。
・Bleeding history:消化管出血の既往
・Renal dysfunction:中等度腎機能障害(CCr30~50mL/分)
・Age≧70:70歳以上
・P-糖タンパク阻害薬併用:アミオダロン、ベラパミルなど
NEJMから、静脈血栓塞栓症に対するダビガトランとワーファリンの比較試験、およびダビガトランとプラセボの比較試験の2試験の報告です。2011年の国際血栓止血学会で発表された内容を論文化したものです。
Sam Schulman, et al.
Extended Use of Dabigatran, Warfarin, or Placebo in Venous Thromboembolism
N Engl J Med 2013;368:709-18.
背景:
ダビガトランは直接的にトロンビンを阻害する抗凝固薬であり、固定用量で投与することができ、また検査によるモニタリングが不要であることから、静脈血栓塞栓症の延長治療(the extended treatment)に適しているかもしれない。
方法:
2つのランダム化二重盲検試験において、3ヶ月以上の初期治療が終了した静脈血栓塞栓症患者を対象に、ダビガトラン150mg1日2回とワーファリンを比較した対照試験(33ヶ国、265施設)と、ダビガトラン150mg1日2回とプラセボを比較した対照試験(21ヶ国、147施設)をおこなった。
評価は治療開始後15日目、30日目と1ヶ月ごとに合計180日目まで続けた。両試験とも、プライマリ効果アウトカムは、症状および客観的静脈血栓塞栓症の再発、あるいは静脈血栓塞栓症による死亡(プラセボ群の説明できない死亡を含む)とした。
結果:
2006年7月から2010年7月までの間、2866人の患者がRE-MEDYに登録され、2007年11月から2010年9月までの間、1353人の患者がRE-SONATEに登録された。
●ワーファリン対照試験(RE-MEDY):
静脈血栓塞栓症の再発は、ダビガトラン群1430人中26人(1.8%)、ワーファリン群1426人中18人(1.3%)にみられた(ダビガトランのハザード比 1.44、95%信頼区間0.78~2.64、P=0.01)。
重大な出血事象は、ダビガトラン群13人(0.9%)、ワーファリン群25人(1.8%)に発生した(ハザード比 0.52、95%信頼区間 0.27~1.02)。重大な出血あるいは臨床的に重要な出血は、ダビガトラン群のほうが少なかった(ハザード比 0.54、95%信頼区間 0.41~0.71)。急性冠症候群は、ダビガトラン群13人(0.9%),ワーファリン群3人(0.2%)に発生した(P=0.02)。
●プラセボ対照試験(RE-SONATE):
静脈血栓塞栓症の再発は、ダビガトラン群681人中3人(0.4%)、プラセボ群662人中37人(5.6%)にみられた(ハザード比 0.08、95%信頼区間0.02~0.25、P<0.001)。 重大な出血は、ダビガトラン群で2人(0.3%)に発生し、プラセボ群では発生しなかった。重大な出血あるいは臨床的に重要な出血は、ダビガトラン群36人(5.3%)、プラセボ群12人(1.8%)に発生した(ハザード比 2.92、95%信頼区間 1.52~5.60)。急性冠症候群は、ダビガトラン群とプラセボ群でそれぞれ1人に発生した。
結論:
ダビガトランは、静脈血栓塞栓症の延長治療(the extended treatment)に有効であり、重大な出血あるいは臨床的に重要な出血のリスクは、ワーファリンより低かったがプラセボより高かった。
by otowelt
| 2013-02-22 17:12
| 内科一般