呼吸機能障害のない特発性肺線維症患者の臨床的特徴
2013年 03月 29日
呼吸機能障害がない早期の特発性肺線維症の患者さんに焦点をあてた、素晴らしい論文です。
Kondoh Y, et al.
Disease Progression in Idiopathic Pulmonary Fibrosis Without Pulmonary Function Impairment
Respirology, 2013, in press, DOI: 10.1111/resp.12082
背景および目的:
特発性肺線維症(IPF)を理解する上で近年様々な知見が集まっているにもかかわらず、この疾患の早期の病態についてはいまだによくわかっていない。われわれは、呼吸機能障害のないIPF患者の臨床的特徴、疾患の自然経過、生理学的所見を調べた。
方法:
1997年1月から2006年12月までの間、公立陶生病院で25人の呼吸機能障害のないIPF患者(外科的肺生検で診断)を同定した。”呼吸機能障害がない”というのは、努力性肺活量およびDLCOが両方とも予測値の80%を超えるものと定義した。2人の肺病理医および3人の放射線科医によって組織学的および放射線学的に再評価をおこなった。このスタディでは新しいIPFガイドライン(Raghu G, et al. ATS/ERS/JRS/ALAT Committee on Idiopathic Pulmonary Fibrosis. An official ATS/ERS/JRS/ALAT statement: idiopathic pulmonary fibrosis: evidence-based guidelines for diagnosis and management. Am J Respir Crit Care Med 2011; 183: 788-824.)に基づいて多方面からIPFと診断した。
結果:
25人のIPF患者の再評価ののち、以下の患者が除外された。2人:慢性過敏性肺炎の可能性がある、3人:喫煙関連肺疾患の可能性がある、1人:リンパ増殖性疾患あるいは膠原病関連肺疾患の可能性がある、1人:39ヶ月後に関節リウマチと診断された、2人:十分なデータがない。そのため、16人のIPF確定例が本試験に組み込まれた。
11人の患者は定期的な診察で胸部レントゲン異常が同定された。また、7人の患者は無症状であった。HRCTで4人のUIPパターン、9人のpossible UIPパターン、3人のinconsistent with UIPパターンがみられた。これらの観察者間の一致率は良好であった(κ=0.893)。
11人で疾患増悪(少なくとも10%の努力性肺活量の悪化あるいは少なくとも15%のDLCO悪化)がみられた(平均期間19.9±12.3ヶ月)。
単変量解析でUIPパターンおよびHRCTでの蜂巣肺の存在(OR 5.634, 95% CI 1.364-23.278)とその拡がり(%)(OR 2.371、 95%CI 1.042-5.395)は疾患増悪と関連していた。 生存期間中央値は112.0±3.9ヶ月であり、7人が死亡した。
結論:
呼吸機能障害のないIPF患者はゆるやかではあるが進行する。HRCTでの蜂巣肺は増悪の予測因子である。
Kondoh Y, et al.
Disease Progression in Idiopathic Pulmonary Fibrosis Without Pulmonary Function Impairment
Respirology, 2013, in press, DOI: 10.1111/resp.12082
背景および目的:
特発性肺線維症(IPF)を理解する上で近年様々な知見が集まっているにもかかわらず、この疾患の早期の病態についてはいまだによくわかっていない。われわれは、呼吸機能障害のないIPF患者の臨床的特徴、疾患の自然経過、生理学的所見を調べた。
方法:
1997年1月から2006年12月までの間、公立陶生病院で25人の呼吸機能障害のないIPF患者(外科的肺生検で診断)を同定した。”呼吸機能障害がない”というのは、努力性肺活量およびDLCOが両方とも予測値の80%を超えるものと定義した。2人の肺病理医および3人の放射線科医によって組織学的および放射線学的に再評価をおこなった。このスタディでは新しいIPFガイドライン(Raghu G, et al. ATS/ERS/JRS/ALAT Committee on Idiopathic Pulmonary Fibrosis. An official ATS/ERS/JRS/ALAT statement: idiopathic pulmonary fibrosis: evidence-based guidelines for diagnosis and management. Am J Respir Crit Care Med 2011; 183: 788-824.)に基づいて多方面からIPFと診断した。
結果:
25人のIPF患者の再評価ののち、以下の患者が除外された。2人:慢性過敏性肺炎の可能性がある、3人:喫煙関連肺疾患の可能性がある、1人:リンパ増殖性疾患あるいは膠原病関連肺疾患の可能性がある、1人:39ヶ月後に関節リウマチと診断された、2人:十分なデータがない。そのため、16人のIPF確定例が本試験に組み込まれた。
11人の患者は定期的な診察で胸部レントゲン異常が同定された。また、7人の患者は無症状であった。HRCTで4人のUIPパターン、9人のpossible UIPパターン、3人のinconsistent with UIPパターンがみられた。これらの観察者間の一致率は良好であった(κ=0.893)。
11人で疾患増悪(少なくとも10%の努力性肺活量の悪化あるいは少なくとも15%のDLCO悪化)がみられた(平均期間19.9±12.3ヶ月)。
単変量解析でUIPパターンおよびHRCTでの蜂巣肺の存在(OR 5.634, 95% CI 1.364-23.278)とその拡がり(%)(OR 2.371、 95%CI 1.042-5.395)は疾患増悪と関連していた。
結論:
呼吸機能障害のないIPF患者はゆるやかではあるが進行する。HRCTでの蜂巣肺は増悪の予測因子である。
by otowelt
| 2013-03-29 09:03
| びまん性肺疾患