スピリーバ・レスピマット®はハンディヘラー®と比較して30%の死亡リスク上昇と関連
2013年 03月 26日
スピリーバ・レスピマット®の死亡リスク上昇については、BMJやThoraxからのメタアナリシスが記憶に新しいですね。レスピマット®に不利なデータが相次いでいますね。
・メタアナリシス:スピリーバ・レスピマットは総死亡・心血管系死亡リスクを有意に上昇
以下ERJの論文をご紹介します。
KMC. Verhamme, et al.
Use of tiotropium Respimat® SMI vs. tiotropium Handihaler® and mortality in
patients with COPD
ERJ March 21, 2013 erj00058-2013, Published online before print March 21, 2013.
背景:
チオトロピウム(スピリーバ®)は、ハンディヘラー®あるいはレスピマット®を通して吸入される長時間作用型抗コリン薬である。ランダム化比較試験により、レスピマット®製剤の使用は死亡リスクを上昇するとされている。われわれは、チオトロピウム・レスピマット®とハンディヘラー®の死亡リスクを直接比較した。
方法:
オランダにおけるプライマリケア情報データベースを用いて、われわれは40歳以上で少なくとも1年間情報が得られる患者を登録した。登録前1年間の情報から、基礎疾患の病歴を抽出した。試験期間は2008年1月1日から2011年1月1日とした。処方データに基づき、チオトロピウムの使用(レスピマット®あるいはハンディヘラー®)を抽出し、このエピソードから死亡リスクをCox比例ハザード回帰分析によって算出した。
共変量として想定したものは、喫煙歴、基礎疾患(気管支喘息、狭心症、虚血性心疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、脳卒中あるいは一過性脳虚血発作、心不全、心室性不整脈、高血圧、脂質異常症、癌、肺炎、パーキンソニズム、抑うつ、認知症、糖尿病、腎不全)、併用薬剤とした。
データベースからはCOPDあるいは慢性気管支炎患者を抽出したが、スパイロメトリーに基づいて診断されたかどうかは定かではない。
結果:
11287人の患者が24522のチオトロピウム使用エピソードを有していた。平均年齢68.1歳、51.9%の患者が男性であった。496人がレスピマット®あるいはハンディヘラー®使用期間中に死亡していた。
レスピマット®はおおよそ30%の死亡リスク上昇と関連していた(補正ハザード比1.27, 95%信頼区間 1.03-1.57)。 死因は、心血管系/脳血管系の死亡リスクは高かった(補正ハザード比1.56, 95%信頼区間1.08-2.25)。
心血管系疾患を有する患者では、それらを有さない患者よりも死亡リスクは高かった(補正ハザード比 1.36, 95%信頼区間1.07-1.73 vs 補正ハザード比1.02, 95%信頼区間0.61-1.71)。
ディスカッション:
この試験は、レスピマット®とハンディヘラー®を比較した数少ないhead to head試験の1つである。死亡リスクが上昇した理由は、吸入ミストによる抗コリン薬の血中濃度の上昇が考えられている(BMJ.2011;342:d3215.)。ベーリンガー・インゲルハイム社は、現在TIOSPIR試験(17000人以上の患者を登録)によって、レスピマット®製剤の安全性と効果を再検証している。同試験結果は2014年に公開される見通しである(ClinicalTrials.gov. Comparison of tiotropium in the Handihaler versus the Respimat in COPD.2012.)。
結論:
チオトロピウム・レスピマット®の使用はハンディヘラー®と比較して30%の死亡リスク上昇と関連していた。この関連性は特に心血管系/脳血管系死亡と関連していた。この関連性が因果関係のあるものなのか、COPD重症度による残差交絡によるものなのか定かではない。
・メタアナリシス:スピリーバ・レスピマットは総死亡・心血管系死亡リスクを有意に上昇
以下ERJの論文をご紹介します。
KMC. Verhamme, et al.
Use of tiotropium Respimat® SMI vs. tiotropium Handihaler® and mortality in
patients with COPD
ERJ March 21, 2013 erj00058-2013, Published online before print March 21, 2013.
背景:
チオトロピウム(スピリーバ®)は、ハンディヘラー®あるいはレスピマット®を通して吸入される長時間作用型抗コリン薬である。ランダム化比較試験により、レスピマット®製剤の使用は死亡リスクを上昇するとされている。われわれは、チオトロピウム・レスピマット®とハンディヘラー®の死亡リスクを直接比較した。
方法:
オランダにおけるプライマリケア情報データベースを用いて、われわれは40歳以上で少なくとも1年間情報が得られる患者を登録した。登録前1年間の情報から、基礎疾患の病歴を抽出した。試験期間は2008年1月1日から2011年1月1日とした。処方データに基づき、チオトロピウムの使用(レスピマット®あるいはハンディヘラー®)を抽出し、このエピソードから死亡リスクをCox比例ハザード回帰分析によって算出した。
共変量として想定したものは、喫煙歴、基礎疾患(気管支喘息、狭心症、虚血性心疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、脳卒中あるいは一過性脳虚血発作、心不全、心室性不整脈、高血圧、脂質異常症、癌、肺炎、パーキンソニズム、抑うつ、認知症、糖尿病、腎不全)、併用薬剤とした。
データベースからはCOPDあるいは慢性気管支炎患者を抽出したが、スパイロメトリーに基づいて診断されたかどうかは定かではない。
結果:
11287人の患者が24522のチオトロピウム使用エピソードを有していた。平均年齢68.1歳、51.9%の患者が男性であった。496人がレスピマット®あるいはハンディヘラー®使用期間中に死亡していた。
レスピマット®はおおよそ30%の死亡リスク上昇と関連していた(補正ハザード比1.27, 95%信頼区間 1.03-1.57)。
心血管系疾患を有する患者では、それらを有さない患者よりも死亡リスクは高かった(補正ハザード比 1.36, 95%信頼区間1.07-1.73 vs 補正ハザード比1.02, 95%信頼区間0.61-1.71)。
ディスカッション:
この試験は、レスピマット®とハンディヘラー®を比較した数少ないhead to head試験の1つである。死亡リスクが上昇した理由は、吸入ミストによる抗コリン薬の血中濃度の上昇が考えられている(BMJ.2011;342:d3215.)。ベーリンガー・インゲルハイム社は、現在TIOSPIR試験(17000人以上の患者を登録)によって、レスピマット®製剤の安全性と効果を再検証している。同試験結果は2014年に公開される見通しである(ClinicalTrials.gov. Comparison of tiotropium in the Handihaler versus the Respimat in COPD.2012.)。
結論:
チオトロピウム・レスピマット®の使用はハンディヘラー®と比較して30%の死亡リスク上昇と関連していた。この関連性は特に心血管系/脳血管系死亡と関連していた。この関連性が因果関係のあるものなのか、COPD重症度による残差交絡によるものなのか定かではない。
by otowelt
| 2013-03-26 00:37
| 気管支喘息・COPD