血清アンジオテンシン2の上昇は急性肺傷害の予測能を高める
2013年 04月 02日
ATSジャーナルとして、American Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology、American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine、Annals of the American Thoracic Societyの3つがまとめられています。
Ashish Agrawal, et al.
Plasma Angiopoietin-2 Predicts the Onset of Acute Lung Injury in Critically Ill Patients
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 187, No. 7 (2013), pp. 736-742.
背景:
現在の急性肺傷害(ALI)における臨床的予測スコアは限定的な陽性予測価値しかない。また、重症患者においてこれを予測するための血清バイオマーカーは評価されていない。
目的:
血清アンジオテンシン2(Ang-2)、von Willebrand因子factor (vWF)、インターロイキン8(IL-8)、または糖化最終産物受容体(sRAGE)がALIを予測できるかどうか検証した。
方法:
救急部において、血清サンプルが重症患者230人から採取された。ベースラインでALIを有する患者あるいは引き続き6時間でALIを発症した患者は除外され、残りの登録患者がALIを発症したかどうか調べた。
結果:
19人の患者が血清サンプルを採取された少なくとも6時間後にALIを発症した。Ang-2およびIL-8の高値は、ALI発症と関連していた(それぞれP = 0.0008, 0.004)。敗血症や血管作動薬の使用で補正をおこなっても、Ang-2とALI発症の関連性は極めて強かった。Ang-2と肺傷害予測スコアは、ALIを発症した患者としていない患者の間で独立して鑑別可能で、両方を組み合わせて使うことでAUC0.84の診断能が得られた(片方でAUC0.74で、これらを比較するとP = 0.05)。それに対して血清sRAGE、vWFはALIを予測しなかった。
結論:
Ang-2のような血清バイオマーカーは、肺傷害の臨床予測スコアの診断能を高め、ALIの高リスク患者を同定するのに役立つ。加えて、早期のAng-2上昇はALI早期における上皮傷害の重要性を投げかけるものである。
by otowelt
| 2013-04-02 00:27
| 集中治療