抗癌剤による末梢神経障害性疼痛に対してデュロキセチンは有効
2013年 04月 12日
個人的にはプレガバリン(リリカ®)をよく使用していますが、最近話題になっているデュロキセチン(サインバルタ®)の臨床試験結果がJAMAに報告されていました。最近当院でもサインバルタ®の説明会をしていただきました。「バイタルサイン」のアナグラムのような商品名ですね。
Ellen M. Lavoie Smith, et al.
Effect of Duloxetine on Pain, Function, and Quality of Life Among Patients With Chemotherapy-Induced Painful Peripheral Neuropathy
A Randomized Clinical Trial
JAMA. 2013;309(13):1359-1367.
背景:
疼痛を伴う化学療法による末梢神経障害に対する効果的な治療は確立されていない。
目的:
平均的な疼痛重症度におけるデュロキセチン60mg/日の効果を同定する。
方法:
国立がん研究所:National Cancer Institute (NCI)に援助を受けた8つの施設でおこなわれたランダム化プラセボ対照クロスオーバー試験である。2008年4月から2011年3月までの25歳以上の231人の登録患者でおこなわれた。2012年7月に試験フォローアップ終了となった。
化学療法レジメン(神経毒性クラス)および合併疼痛リスク(高リスク vs 低リスク)によって層別化を行い、患者はプラセボの後にデュロキセチンを投与する群(A群)、その逆の投与を行う群(B群)にランダムに割り付けられた。
登録患者はNCI CTCAEでgrade 1以上の感覚神経症を有するものとし、パクリタキセル、ほかのタキサン系、オキサリプラチンの治療後に10のうち少なくとも4以上の痛みを訴えるものとした。セロトニンに影響を与える薬剤の使用は許可しなかったが、オピオイドやアセトアミノフェンなどのほかの鎮痛薬の併用は許可した。
初期1週間はデュロキセチン30mgあるいはプラセボを1カプセル1日1回内服する治療をおこない、その後4週間はそれを1日2カプセル内服する治療をおこなった(デュロキセチン60mg/日)。
本試験のアウトカムは、デュロキセチンは化学療法による末梢神経痛をプラセボよりも効果的に軽減できるという仮説のもとに成り立っている。疼痛の重症度はBrief Pain Inventory(Short Form)によって評価した。
結果:
115人がA群、116人がB群に割り付けられた。クロスオーバーの過程での有害事象や同意撤回などにより、最終的にA群67人、B群74人が本試験を完遂した。両群において患者特性に差はみられなかった。
最初の5週間で報告された疼痛の平均減少はデュロキセチン群1.06 (95%信頼区間, 0.72-1.40)で、プラセボ0.34 (95%信頼区間, 0.01-0.66)であった(P=.003; 効果量0.513)。平均疼痛スコアの平均差は両群で0.73 (95%信頼区間 0.26-1.20)であった。初期デュロキセチンを受けた59%、初期プラセボを受けた38%の患者は何らかの疼痛減少を報告した。
抗癌剤レジメンによる層別化の結果では、白金製剤ではデュロキセチンによる効果が有意にみられたものの(平均差1.06 、95%信頼区間 0.48 to 1.63)、タキサン系では差がみられなかった(平均差0.19、95%信頼区間–0.61 to 0.98)。 結論:
化学療法によって起こった疼痛を伴う末梢神経障害のある患者では、5週間のデュロキセチンはプラセボと比較して疼痛軽減に有効であった。
Ellen M. Lavoie Smith, et al.
Effect of Duloxetine on Pain, Function, and Quality of Life Among Patients With Chemotherapy-Induced Painful Peripheral Neuropathy
A Randomized Clinical Trial
JAMA. 2013;309(13):1359-1367.
背景:
疼痛を伴う化学療法による末梢神経障害に対する効果的な治療は確立されていない。
目的:
平均的な疼痛重症度におけるデュロキセチン60mg/日の効果を同定する。
方法:
国立がん研究所:National Cancer Institute (NCI)に援助を受けた8つの施設でおこなわれたランダム化プラセボ対照クロスオーバー試験である。2008年4月から2011年3月までの25歳以上の231人の登録患者でおこなわれた。2012年7月に試験フォローアップ終了となった。
化学療法レジメン(神経毒性クラス)および合併疼痛リスク(高リスク vs 低リスク)によって層別化を行い、患者はプラセボの後にデュロキセチンを投与する群(A群)、その逆の投与を行う群(B群)にランダムに割り付けられた。
登録患者はNCI CTCAEでgrade 1以上の感覚神経症を有するものとし、パクリタキセル、ほかのタキサン系、オキサリプラチンの治療後に10のうち少なくとも4以上の痛みを訴えるものとした。セロトニンに影響を与える薬剤の使用は許可しなかったが、オピオイドやアセトアミノフェンなどのほかの鎮痛薬の併用は許可した。
初期1週間はデュロキセチン30mgあるいはプラセボを1カプセル1日1回内服する治療をおこない、その後4週間はそれを1日2カプセル内服する治療をおこなった(デュロキセチン60mg/日)。
本試験のアウトカムは、デュロキセチンは化学療法による末梢神経痛をプラセボよりも効果的に軽減できるという仮説のもとに成り立っている。疼痛の重症度はBrief Pain Inventory(Short Form)によって評価した。
結果:
115人がA群、116人がB群に割り付けられた。クロスオーバーの過程での有害事象や同意撤回などにより、最終的にA群67人、B群74人が本試験を完遂した。両群において患者特性に差はみられなかった。
最初の5週間で報告された疼痛の平均減少はデュロキセチン群1.06 (95%信頼区間, 0.72-1.40)で、プラセボ0.34 (95%信頼区間, 0.01-0.66)であった(P=.003; 効果量0.513)。平均疼痛スコアの平均差は両群で0.73 (95%信頼区間 0.26-1.20)であった。初期デュロキセチンを受けた59%、初期プラセボを受けた38%の患者は何らかの疼痛減少を報告した。
抗癌剤レジメンによる層別化の結果では、白金製剤ではデュロキセチンによる効果が有意にみられたものの(平均差1.06 、95%信頼区間 0.48 to 1.63)、タキサン系では差がみられなかった(平均差0.19、95%信頼区間–0.61 to 0.98)。
化学療法によって起こった疼痛を伴う末梢神経障害のある患者では、5週間のデュロキセチンはプラセボと比較して疼痛軽減に有効であった。
by otowelt
| 2013-04-12 00:14
| 肺癌・その他腫瘍