小児におけるClostridium difficile感染症の頻度は想定されているよりも多い
2013年 05月 01日

Sahil Khanna, et al.
The Epidemiology of Clostridium difficile Infection in Children: A Population-Based Study
Clin Infect Dis. (2013) 56 (10): 1401-1406
背景:
当初リスクが低いと想定されていた小児のような集団でも近年Clostridium difficile感染症(CDI)は増加している。多くの臨床試験は入院患者を対象にしたものであり、入院バイアスなどによって潜在的に影響を受けている。
方法:
ミネソタ州オルムステッド郡において、1991年から2009年までの間われわれは小児住民(0歳~18歳)におけるCDIの頻度や重症度、治療反応、アウトカムについての集団ベース研究を行った。
結果:
99人のCDI患者が同定されたが、7人は下痢がないなどの理由で除外された。そのため、92人のCDI患者を解析した。年齢中央値は2.3年(1ヶ月~17.6歳)であった。75%の症例は市中発症だった。

年齢および性別を調整したCDIの頻度は10万人あたり13.8人であった。時期別では1991年~1997年の10万人当たり2.6人から2004年~2009年の32.6人に12.5倍に増加していた(P < .0001)。市中発症CDIの頻度は10万人あたり10.3人であり、これも時期別では1991年~1997年から2004年~2009年にかけて10.5倍に増加していた(P < .0001)。

重症(白血球15000以上・クレアチニン値50%以上の上昇)、重症複雑性(敗血症・低血圧・イレウス・中毒性巨大結腸症・消化管穿孔・ICU入室の必要性・CDI関連合併症での外科手術・死亡)、再発性のCDIはそれぞれ9%、3%、20%の患者にみられた。初期治療は82%がメトロニダゾールであり、18%が治療失敗を経験していた。初期治療がバンコマイシンであった患者は8%で、治療失敗は観察されなかった。
結論:
集団ベースコホート試験において、小児におけるCDIの頻度は1991年から2009年にかけて有意に増加していた。このCDIの多くの症例が市中発症であり、CDIの小児における頻度を院内発症に限定している現状では小児における疾患のひろがりを過小評価している可能性が示唆される。
by otowelt
| 2013-05-01 00:18
| 感染症全般